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珊瑚の島で千鳥足 続「ばらとおむつ」 [活字中毒のトモ]


珊瑚の島で千鳥足    続「ばらとおむつ」 (角川文庫)

珊瑚の島で千鳥足 続「ばらとおむつ」 (角川文庫)

  • 作者: 銀色 夏生
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/10/25
  • メディア: 文庫


*読み応え: 80 点
*コストパフォーマンス: 80 点

銀色夏生さんのお母さんの介護日誌 ばらとおむつ (角川文庫) の続編。
「ばらとおむつ」の書評については こちら をお読みいただけるとうれしーです。

「珊瑚の島で千鳥足」というタイトルは
介護人せっせ(夏生さんのお兄さん)が、お母さんであるしげちゃんを
「暖かい南の島にでも連れて行って、そこで一緒に暮らせたら」
と強く願っていた頃につけられた、介護日誌のタイトルだったようです。
その前は「ばらとおむつ」というタイトルでした。
(前作の書名が「ばらとおむつ」というのはそのせいです)
せっせはこの介護日誌を、不定期で遠方に住む弟妹に送ってくれています。

「南の島にでも連れて行って・・・」
という思い出スタートした、この「続介護日誌」ですが
内容は、お母さんの一進一退の病状と
現在お母さんが地元で保持している土地建物、その他雑貨を
大変な思いをして処分して行く様子がつづられています。
ですので、舞台は南の島ではなく、前回と同じ宮崎です。

これを読むと、どうやら夏生さんの生家は
その昔はかなり力のあった地主さんか何かなのでしょうね。
ムダに広い田畑や宅地が、半ば放置された状態で残っていて
せっせが必死になって建物を取り壊して更地にしたり、
休耕地の扱いを考えあぐねる様子が、ちょくちょく書かれています。
「土地は持つもんじゃない」
とぶつぶつ言いながら、土地の手入れをしたり
境界の揉め事に巻き込まれたり、
兄弟や親戚が倉庫に放置していった「過去の遺物」を処分していくせっせ。
そして遠く離れた場所に住む兄弟に代わって、母親の介護までも担当してくれる。
とても実用的で身軽な人で、うちにも 1 人貸して欲しいくらいです。

しげちゃんの介護も、かなり大変そうですが
介護日誌はいつも、自虐的なユーモアにあふれていて、楽しそうです。
読みながら、何度も大爆笑しました。
「私の現状は、しげちゃんの死に待ち」とか
「介護したら相続では寄与分を主張できるんですよ」とか
「しげちゃんが家族の集合写真を撮ろうと言います。
そう、しげちゃんはそんな縁起の悪いイベントが大好きです」とか
言い方がイヤミじゃなくて、かつちょっとシュールで、
介護日誌なのに笑えます。せっせ、えらい。

そんなせっせ、本書ではついに顔写真を公開。
せっせファンには、必読の 1 冊です。
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コメント 2

あねやん

10代の頃に詩集を読んだことあったけど、
介護のエッセイを書いてるとは知らなかったなぁ。
タイトルが面白いね。本屋でちょっと見てみます。

by あねやん (2009-02-07 10:23) 

うしこ

>あねやん

ぜひぜひ(^^)

詩人の夏生さんとはまた違ったイメージの彼女を見ることができるから
おもしろいよ。
by うしこ (2009-02-08 09:11) 

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