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国家の罠 - 外務省のラスプーチンと呼ばれて [活字中毒のトモ]


国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫


*読み応え: 100 点
*コストパフォーマンス: 80 点

外務省で、ロシア情報収集・分析のエキスパートとして活躍していた佐藤優さんの著書。

今から 7 年ほど前、日本は国家としての政策路線を
「ケインズ型公平配分路線」から「ハイエク型傾斜配分路線」へ
また国家としての主義を
「地政学的国際協調主義」から「排外主義的ナショナリズム」へ
と転向させるにあたって、「時代のけじめ」をつけるべく
路線変更の邪魔になる衆議院議員、鈴木宗男氏を排除しようと
特捜検察を使ってデタラメな事件をでっち上げました。

宗男氏を排除するためのでっち上げ事件による逮捕者第 1 号が
著者である佐藤優さんだそうです。
要するに、佐藤さんは国家の仕掛けた「罠」に
まんまとハメられたと。

私は、佐藤さんが逮捕された当時(2002 年)、もういい大人だったはずなのですが
当時の政治に関しての記憶がほとんどありません。
佐藤さんが逮捕されたことも、覚えていませんでした。
鈴木宗男さんが逮捕される前に、佐藤さんをはじめ
その後輩やら同僚やら複数の外交官、また商社マンが
逮捕されていたなんて・・・。
しかも、その原因が「国家の罠」?
知らんかったわ。

もしこれが真実だとすると、
国家生命をたかだか数年延長するだけの「路線変更」を遂行するために
有能な外交官を罠に落として無罪の罪を着せるなんて、
一体、国や外務省はどんなところなんだ?
頭の悪い子供らじゃあるまいし。
やり方がえげつなさすぎます。

本来なら、崇高な意思を持って国を動かしていかなくてはいけない集団が
ここまで腐った団体だとは・・・薄々気付いていたけれど
それにしても・・・ひどい。

この本を読むと、最近小沢一郎さんの秘書が逮捕されたのも
「国家の罠」なんじゃないか・・・と勘ぐってしまうのですよ。

また、政治家と官僚って、結構仲が悪いというか
意思疎通を図るのに苦労しているようだというのが意外でした。
外務大臣は、国の顔として外国の重鎮と会談していますので
官僚たちと協力して、国益を重視して仕事をするものだとばかり思っていたのですが
そうではなかったのですね。
大臣が変わってしまうと、
官僚たちの今までの外交政策とその苦労が水の泡・・・
ってことも多いのですね。

まぁ、考えてみれば、私が仕事をしている場合でも
ボスが短期間でコロコロ変わって、しかもそのボスが
仕事について知ろうともしない、部下と仲良くなろうともしない
ただ口うるさいだけの人だったら

「こんなヤツについていけるかい、アホ」

と思いますね。
だからって、ボスが逮捕されるとなったら
自分と同じ仕事をしている同僚を裏切ったり
ボスが不利になるような供述をしたりするかな?
どうだろう?

本書には、対ロシア外交の厳しさとか
佐藤さんの獄中の暮らしぶりとか
西村検察官のカッコ良い人となり、取調べの様子とかが
詳細に記述されていて
1 ページ読むごとに新たな発見を得られる、
好奇心旺盛な人にとってはたまらない 1 冊です。
しめて 550 ページ。読み応えありますよ。

・・・とまぁ、とりとめもない私の感想はさておき、
本書に書かれている、川上弘美さんによるあとがきが
読みながら思わず「おお~」と叫んでしまうほど、とても鋭い「感想文」で、
これを読んだら、もう私の頭の中で感じたことはほぼ網羅されていて
新たに書評を書くまでもないという感じで、本当に素晴らしいです。
あとがきだけ読んでも楽しめますよ。
・・・いやもちろん言うまでもなく、本文は必読の 1 冊です、ハイ。
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