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こんな時はマルクスに聞け [活字中毒のトモ]


こんな時はマルクスに聞け―いったい世の中どうなっているんだ!『資本論』から世界を見る

こんな時はマルクスに聞け―いったい世の中どうなっているんだ!『資本論』から世界を見る

  • 作者: 高島 康司
  • 出版社/メーカー: 道出版
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 単行本


ブログ ヤスの備忘録 歴史と予言のあいだ でおなじみの、ヤスさんの著書。
でもこの本は、ブログのようにさまざまな予言を検証するものではなく
資本主義の基礎の基礎、マルクスの「資本論」をひもといて
現在の社会状況が資本主義の全プロセスのどのあたりであるのかを検証し
今後の方向性を探ろう、というものです。

「資本論」というと、私のイメージとしては
「百何十年前に書かれたワケのわからん経済本」でしかないのですが
その「資本論」には、資本主義がさまざまなプロセスを経て滅んでいく様子が
はっきりと示されていたようなのです。
本書は、その資本論で論じられた、
「資本主義が破滅へと向かう独自のパターン」を検証して
未来の方向性を探っています。
そして、文章がとても分かりやすく、シンプルな図もあったりするので
「資本論?何それ??」てな人も、引き込まれるように読める本です。

「資本論」の目的が、「資本主義社会に内在しているカルマの解明」であったとは
知りませんでした。
マルクスは、「資本論」を書いたときから
資本主義がそのうち滅亡する経済システムであることを
予測していたというのです。
それによると、資本主義というメカニズムには

「発展すればするほど、社会の存続さえ脅かしかねないほどの
巨大な格差を必然的に作り出し、下手をすると自滅の道をたどりかねない」

というシステムが埋め込まれているんだそうです。
うーむ。

あー、でも、社会主義も 20 年くらい前に自滅の道をたどりましたから
そう考えると、どんな経済システムも、絶対ではなくて
そのうちに自滅の道をたどるものなのかもしれないです。

とはいえ、資本主義は、この百数十年の間に
何度も自滅しそうになりながら、そのつど生き残ってきました。
ヤスさんは、本書で、

「資本主義では、この 160 年間に 5 回、システムが生まれ
そして消えていった」

と書いていらっしゃいます。
これらのシステムがどのようなものであったかというと

1. 軽工業資本主義(主要国はイギリス 1823-1870)
2. パックスブリタニカ(主要国はイギリス 1870-1920)
3. ブロック経済体制(1933-1945)
4. ブレトンウッズ体制(主要国はアメリカ 1945-1971)
5. スミソニアン体制(主要国はアメリカ 1972-1990)
6. 95 年システム(主要国はアメリカ 1995-2008)

今、また自滅しつつありますが、6 回目の今回は生き残れるか?
それとも、まったく新しい経済システムが台頭するか?

ヤスさんは、

「世界的な不況がこれから悪化せず、このままの状態を維持するなら
世界は基軸通貨をもたず、地域通貨を導入しゆるやかに多極化するだろう」

と言っています。
じゃあ、不況が急激に悪化したらどうなるんでしょう?
実はヤスさんは、そのパターンの方が、これから起こる可能性が高いと
思っていらっしゃるようです。

そうなると、世界は非常に不安定化して

「まるで第 1 次世界大戦前夜のような状態になり
政府は国内企業を補助金などで支援し
海外市場に、製品を非常に安い価格でダンピングするようになる。
そして、世界経済は国家資本主義へと急速に移行するだろう」

と述べています。

さて、どちらのシステムが採用されるか、非常に楽しみです。
前者なら、戦争の危険性も少しは少ないのでしょうか?
よく考えたら私は、経済がスミソニアン体制から 95 年システムへ移行する際に
とっくに物心ついた年になっていたわけですが
経済システムが移行したことに気づいていませんでした(^^;
あーなんか、仕事しにくい世の中になったなーというか
景気悪いなーというか・・・その程度の意識しか持っていませんでした。
今回も、それと同じような、ゆるやかな変化であれば対応できそうな気がします。
そうでなければ?うーむ・・・流されるのみかも。


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