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ザーヒル [活字中毒のトモ]


ザーヒル (角川文庫)

ザーヒル (角川文庫)

  • 作者: パウロ・コエーリョ
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/02/25
  • メディア: 文庫


「アルケミスト」 で有名な、パウロ・コエーリョさんの作品です。

ジャーナリストである妻エステルと、それなりに幸せな生活を送っていた主人公(作家)は
ある日突然、妻に失踪されてしまいます。
帰らない妻を待ちながら、彼はさまざまな体験をして
これまでの自分の愛がいかに自己満足なものであったかを気づくのですが・・・。

まず最初に「ザーヒル」っていったい何なのか。
これは、本書の冒頭に書いてありましたが
アラビア語で「目に見える、そこにある、気づかずにすますことができない」という意味だそうです。
ひとたび接触を持ってしまうと、徐々に私たちの思考を支配していくことになって
ついには他の何にも意識を集中できなくさせてしまうもののこと、なんだそうです。
主人公にとって、奥さんが「ザーヒル」だったのですが
ザーヒルが存在するのって、
その対象ではなく、結局自分の心のもち方が問題なんだよという
深いメッセージがこめられた本です。

パウロ・コエーリョさんは現在 63 歳(1947 年 8 月 24 日生まれ)とのことで
63 年も生きてきたら、それなりに色々なことを経験されて
生きていくうえで色々なことが分かっているから
こういう小説が書けるのかな・・・と思いました。
ラストも単なるハッピー・エンドではなく、
これってハッピーなの?こういうことも受け止めるのが「愛」ってことなの?
というのが、私の読了後の感想です。

人を愛するというのがどういうことなのか
あの人のことが好き、といいつつ、
実は自分のことが一番好きなんじゃないかという人が読むと
目からうろこが落ちるのかもしれません。
でも、そもそも、そういう人はこの本を読んでみようとは思わないでしょうね。
愛情っていったいなんだったんだろう?とちょっぴり悩んでいる、倦怠期の夫婦向けの本です。
「アルケミスト」 とは違って、437 ページもある長編ですので
時間のあるときにゆっくり読むと、楽しめると思います。



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