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とんび [活字中毒のトモ]


とんび (角川文庫)

とんび (角川文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/10/25
  • メディア: 文庫


久しぶりに、重松さんの本を読みました。
某発言サイトでちらっとこの本のことがでてきたので
一体どんな本なのか、買って読んでみようか・・・と少し迷っていたときに
読書ブロガー Sanchai さんの記事の中に、この本の感想 を見つけました。
とても好意的な感想だったので、さっそく買ってみました。しかも Kindle 版を。
買ってすぐ読むことができて、とても良かったです。
そして通勤中とか、カフェで夫を待っている間とか、会社の昼休みとか
細切れの時間に読んでいたのですが、
会社で読んでいるときに涙が出そうになって、かなり困りました。。
これは公共の場で読むのは控えた方がいいかもです。涙もろい人は特に。

私が知っている中では最強のツンデレお父さん、ヤスさんが
男手ひとつで息子アキラさんを育て上げる物語です。
こう書いてしまうとなんだかあっさりしたものに見えますが、読んでみると全然違いますよ。
私は立場上、父にも息子にもなれないので、
子どもの目線で見ると、こんな父親いたら・・・面倒だな、
なんでもっと素直になれないんだろう、と思うこともしばしばでしたし
妻の目線で見ても、こんな人を夫にすると、子煩悩なのはいいけれど、
奥さんとしてはとりなす役ばかりで
お父さんいいとこ取りでずるいなー・・・と思ったのですが
それでも、ヤスさんの行動一つ一つにハラハラして、
一悶着あった後にヤスさんが搾り出す台詞の一つ一つに感動しました。
そう、感動する台詞が出てくる前に、やることが多すぎるんです、ヤスさんは。
余計なこと言わんと、素直に息子の学費くらい出してやらんかい、とか
巣立ちのときくらい、意地張らんと笑顔で見送ってやらんかい、とか
近くにいたら、言いたいことはいっぱいあるんですけど、
それでもやっぱり、ヤスさんは「愛すべきおっちゃん」で
周りの人がつい、構いたくなってしまう人だと思いました。
そばにいると、振り回されて「かなわんなー」とか思いつつも、つい手を貸したくなる人。
最強のツンデレなのに、とっても得な人です。
いやツンデレだから、得な人なのか・・・?

それに対し、息子のアキラさんは、
「とんびが鷹を産んだ」と言われるくらい優秀なのですが
そこは息子、やっぱり若造で、理屈ばかりが先に立つ考え方をする人です。
人です、というか、重松さんがそんなふうに、上手に書いていらっしゃるんですよね。
この若造ぶりが見事で、お陰でヤスさんの魅力が増しています。

広島弁でまくしたてる熱いヤスさんに、感情移入して大泣きする本です。
要所要所でヤスさんを助けてくれる従姉妹や、幼馴染の坊さんもいい味出してます。

この本を読んでいる最中に初めて気付いたのですが(いつもながら、遅いですね)
この作品、今ちょうどドラマ化されて、日曜劇場で放送されているのですね。
Wikipedia で調べてみると、去年は NHK でドラマ化されたようです。
NHK オンデマンドで見てみようか・・・。



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コメント 2

Sanchai

ご紹介下さりありがとうございました。
重松作品はいろいろ読んでいて、泣かせる仕掛けに容易に乗せられない免疫ができているつもりでしたが、『とんび』は例外でした。
by Sanchai (2013-02-09 10:27) 

うしこ

>Sanchai さん

こちらこそ、良い書評をいつもありがとうございます。
宣伝とは関係ない純粋な書評はなかなか読めないので、非常にありがたいです。

特に、アキラさんが由美さんを連れて帰ったときに、照雲さんとヤスさんが殴らんばかりの喧嘩を繰り広げるシーン、何回読んでも号泣です。
by うしこ (2013-02-09 13:03) 

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