はらたいらに全部 [活字中毒のトモ]
更年期の夫と向き合っていると、戸惑うことが多いです。
今までなら家族のことも考えて、娘の入学式には率先して休みを取ってくれたりしていましたが
今となっては、自分が仕事に疲れてしばらく休暇を入れたにもかかわらず
その時に高校入学のオリエンテーションがあっても、
参加しないでマッサージへ行ってしまったり、
高校の入学式だと言っても、休みを取るのを渋ったり。
なんだか、自分のことだけしか考えない、面倒なおっさんになってしまいました。
更年期のおっさんと向き合う家族は、いったいどうしたら被害が少なくて済むかしら。
そんなことを考えて、はらたいらさんの奥さんが書いた本を読んでみることにしました。
自称「男性更年期を乗り越えた」はらさんの奥さんなら、
男性更年期を迎えた夫との過ごし方をよくご存じだと思ったのです。
はらたいらさんの奥様、ちず子さんは、はらさんの 1 年後輩でした。
高知の高校を卒業して、東京で働いていたころ、
共通の知人から連絡先を聞いたはらさんが、奥様をお茶に誘い
それからずっと、奥さまを「金づる」として手放さなかったというのが
結婚したいきさつのようです。
・・・はらさん、ヒモじゃないですか。
それからも奥様は、はらさんが漫画家として成功できるように
ありとあらゆるサポートをしたようです。
あまりにサポートしすぎて、はらさんは炊飯ジャーからご飯をよそうことすら
できない人になってしまったそうです。
でもそれを思い出して、楽しげにエッセイに書き綴る奥さまは
そのことについてあまり不満もなかったようですし、
はらさんをそんな人にしてしまったことについても罪悪感を感じておられない様子です。
とにかく、なにができなくても「はらたいらを一流の漫画家にする」というのが
奥さまの使命であったようなのです。
そういう意味では、この方は一流のプロデューサーなのでしょうね。
夫婦と言うよりは、漫画家とプロデューサーと言った方がしっくりくる関係のように見えました。
肝臓がんの治療をする時にも、奥様ははらさんを甘やかして
病院を転院させたり、お酒を飲むのを止めなかったりしています。
「ストレスを抱えながら禁酒するよりは、好きなお酒を飲んで早死にする方がいい」
・・・本人がこう言うことはあるかもしれませんが、家族がこんなこといいますかね?
奥さまは「主人の死は、私も共犯」と書いていらっしゃいますが、
まさにその通りだと思いました。
こんなふうに、医学や社会的には全くおかしいと思われることを
平然と行っておられたようです。これは本にしても、褒められないと思うけど
褒められようと思って書かれたわけではないから、いいのでしょうか。
男性更年期の人と向き合う良い方法を探すためにこの本を読んだのに
参考になりそうな話は書いてありませんでした。
参考どころか、はらさんがどんなにわがままになっても
甘やかして見守ることができる、とても懐の深い奥様と同じことなんて
・・・私にはとてもできそうにありません。
コメント 0