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24人のビリー・ミリガン〈上〉 [活字中毒のトモ]


24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)

24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)

  • 作者: ダニエル キイス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 新書


プリズム」の作者が、参考文献としてこの本を挙げていたので、読んでみました。
1 つの肉体に 24 人もの人格が宿る男性のお話です。
日本でも、出版された当時(1992 年)ベスト・セラーになったと思います。

1977 年、アメリカのオハイオ州で連続レイプ事件が起こりました。
警察はその容疑者として 1 人の男性を逮捕します。
彼の名は、ウィリアム・スタンリー・ミリガン(通称ビリー)。
ですがビリーは自分がレイプ犯だと認めようとしません。
調べていくと、ビリーには 24 人もの人格が別々に宿っていて、
どうやらレイプ事件は、その中の 1 人が起こしたもののようなのです。
肉体の核となる人格のビリーは「やってない」と無罪を主張します。

上巻は、事件が起こりビリーが逮捕され、その後弁護士とビリーが面会するところから、
ビリーが無罪を勝ち取るところまでと
彼の性格が統合されて 1 つの性格「教師」が誕生して語った
ビリーの壮絶な過去が描かれています。

なにせ肉体は 1 つなのに、24 人です。まず、人格それぞれの名前を覚えるのに苦労します。
また人格だけでなく、それぞれの年齢や性別まで違うらしいです。
出身地も違うので、言葉のなまりも違います。
もし彼が普通の人で、警察を欺くために演技をしているのだとしても
24 人の人格を使い分け、それぞれのなまりで話をするのは、
相当に骨の折れることだと思いました。
そんな小細工するのであれば、素直に捕まった方が楽じゃない・・・?
それに統合されたビリーは、かなり優秀な人のようです。
1 人の人間として優秀なのであれば、彼が逮捕される事態にはならないだろうし
専門職について活躍できたと思います。
でも、24 人に分裂してて、それぞれがビリーの時間を使うので
通常のスキルとしては、一般人の 1/24 程度ってことでしょうか。

自分に置き換えて考えてみると、元の性格では社会生活が上手くいかない場合
周りに合わせるように、自分の表現の仕方を徐々に変えます。
元の性格と、その場に適応するのにふさわしい性格にギャップがありすぎると
別の人格が形成されてしまう、というのはわからないことではないと思いました。
今人格が 1 つしかない人は、たまたま適応が上手くいっているだけかもしれません。
心のどこかで、別の人格が眠っていることがあるかも。
私も「プリズム」の主人公聡子同様、色々なことを考えてしまいました。

たまに話がどこにつながっているのか分からなくなることがありますが
比較的読みやすい翻訳で、479 ページを読み切るのにそれほど時間はかかりません。
集中して読むと面白いので、長旅の友にいいかも。
(内容が重いので、ダメですかね?)



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