SSブログ

きよしこ [活字中毒のトモ]


きよしこ

きよしこ

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 単行本


重松 清さんが「個人的なお話」として、週刊新潮に数回にわたって書いたお話です。
吃音がある少年が主人公です。
こちらも同僚が貸してくれました。K さん、いつもありがとう。

「個人的なお話」とはどういうことかと思ったのですが、
どうやらこの吃音がある主人公は、重松さんご自身がモデルのようです。
YouTube に、重松さんと音楽家の和久井 光司さんの対談がアップされていましたが、
この対談を聞く限り、今は普通にお話されていて、会話を楽しんでいらっしゃいます。



主人公の少年(きよし)は、お父さんのお仕事の都合で幼少時から引っ越しが多く
小学校では何度も転校を繰り返します。
吃音をからかわれ、周囲にうまく溶け込めないことも多くて
たくさんの苦労をしています。

重松さんがなぜ、このお話を書こうと思ったのかが、巻頭で説明されています。
吃音がある息子を心配する某お母さんから、息子を励ましてやってほしいという手紙を
いただいたのだそうです。
これを読んだ時に、どうして重松さんは手紙の返事を書くのではなく、本を書いたのかしら?
すぐに返事が届いた方が、手紙を送ったお母さんとしてはうれしいんじゃないかな
と不思議に思ったのですが、
全部読んでみると、これは人を励ます内容ではなく
「いろいろなことがあるだろうから、めげずに生きていこうよ」という
寄り添いの気持ちというか、同じ立場だった人が見守っているよというメッセージでした。
そして手紙の返事としては大変長い、けれどもとても気持ちのこもったメッセージでした。
重松さんに手紙を送ったお母さんとその息子さんが、読んでいてくれるといいなと思いました。
でも読むとお母さんは、これから息子さんがする可能性のある苦労の数々を知って
ショックを受けるかも。

重松さんの作品をたくさん読んでおられる Sanchai さんの感想 も読んでみました。
この感想を読んで初めて気づいたのですが、少年自身も周りの人も
年齢が上がるにつれて「吃音」の事実のとらえ方がだんだん変わってくる様子が
書かれていたのですね。。
確かに、小学校の頃は吃音をからかっていじめる子ばかり登場しますが
中学、高校と上がっていくにつれて、少年が一生懸命伝えようとすることを
理解しようとする子が増え、また少年自身も、
苦手な言葉を別の言葉に置き換えられる能力が高くなっていきます。
個人的には「3 歳の頃に口やかましい女の子はそのまま、うるさいおばちゃんになる」
と思っていたので、ああ人間一応成長するんだ、というか
言っていいことといけないことを、少しは学ぶんだなるほど、と思いました。






nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0