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実践 行動経済学 [活字中毒のトモ]


実践 行動経済学

実践 行動経済学

  • 作者: リチャード・セイラー
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2009/07/09
  • メディア: 単行本


行動経済学についていくつか本を買ったうちの、最後の 1 冊です。
単行本で分厚かったので、持ち歩くのに不便で、なかなか読む気になれなかったのです。
読んでみると、これまた日本語の読解が難しくて
読了はしたものの、内容はほとんど頭に残りませんでした。
とにかく難解な日本語でした。
本書の冒頭に、著者の 1 人であるリチャード・セイラー教授が
「人生のすべてを、そしてこの本でさえ、よりよいものにしてくれるフランスへ」
と書いていたので、私は最初、この本が読みにくいのは原文がフランス語で
訳者が少ない分、訳文の仕上がりがまずいせいだと思っていました。
ところが、よくよく考えてみると、セイラー教授はシカゴ大学の教授ですし
共著者のキャス・サンスティーン教授はハーバード大学で教えています。
原書のタイトルは
"Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth and Happiness"。
・・・思いっきり英語やないかーい!!
ですが残念なことに「訳文が難解なら、原文を読めばいいじゃないか」とは思えませんでした。
原書が厚すぎます。こういうことがあると、人の仕事を奪うと分かっていても、
良質の翻訳機の登場を待ち望んでしまいます。

話が脇へ逸れましたが、原書のタイトルに出てくる "Nudge" とは、辞書によると
人や物をそっとつついて、注意を促すことのようです。
それを行動経済学でどう生かすかですが、本書では、
普通の人を放任して好き放題やらせるのと、ルールを押し付けて厳しく従わせようとするのは
どちらも上手くいかないので、ぱっと見ルールには見えないことをうまく利用して
人々をさりげなく良い方向へ導こうとする試みが紹介されています。
ここまでなら面白く読めたのですが、この本では Nudge する側とされる側を
それぞれ「エコノ」と「ヒューマン」という言葉で区別してしまいました。
こんなの全然面白くないので、この 2 つの言葉が出てきた時点で
(改めて本書を見てみたら、なんと 19 ページ目で登場しています)
興味がすっと失せて、各章ごとですら、何を言っているのか全く分からなくなってしまいました。
各章には、貯蓄とか婚姻制度とか、興味を持てそうなサブタイトルがついていたのですが
それでも中身をじっくり読む気にはなれませんでした。
私は「ヒューマン」で、Nudge するほうではなく、意図的に誘導される側なんでしょうね。
それが面白くないからといって、自分が Nudge する側に立ちたいかというと
そんなことはなくて、そのカテゴライズ自体にむかついたというか
こんなふうに人を区別することを、よくも恥ずかしげもなく、本に書いて公開してくれたと
非常に気分が悪くなりました。
事実が客観的に書かれているであろうことは、分かっているのですが
それでも気分が悪いです。

有名大学の教授が書いた、分厚い本なので
卒論の参考文献としては使えるかな・・・。
それ以外の用途はあまり考えられないというか、読んでもあまり感銘を受けないと思います。





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