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空より高く [活字中毒のトモ]


空より高く (中公文庫)

空より高く (中公文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/09/19
  • メディア: 文庫


書店で文庫本が平積みになっていて、面白そうだったので購入しました。

主人公の松田 練太郎(通称ネタロー)は、東玉川高校(通称トンタマ)の 3 年生。
玉川ニュータウンにほど近いこの高校は、
ネタローたちの卒業と同時に廃校になることが決まっています。
そう、彼はトンタマの最後の卒業生となる学年なのです。
それなのに、トンタマの学生と来たら、平凡が売りのメンバーばかりで
有終の美を飾るなんて気持ちがこれっぽっちもありません。
ネタローも、友だちのヒコザやドカとつるんで、ダラダラしてばかり。
そんな折、国語の先生が交通事故に遭ったということで、
代理兼トンタマの「さよならイベント委員会」顧問となった、神村 仁(ジン)先生が着任します。
先生は着任早々放送部ジャックを行い、トンタマの生徒にこう呼びかけます。

「レッツ・ビギン!」

ネタローたちはその呼びかけを合図に、いろいろな「ビギン」を体感していきます。

なんというか、これほど地味な題材をしんみりと読んだことって、今までないかもしれません。
自分の学年で廃校になる高校に通っている、それ自体は十分ドラマティックなのですが
主人公がネタローだからか、トンタマの平凡さ、地味さが強調されています。
だからこそ、何かを頑張ってやることが際立つというか、普通のお話であれば
ネタローがジン先生に憧れて教師を目指したからといって、
それほど印象に残ったりしないと思うのです。
普通のお話でいて、どこか普通でない。そんな感じの小説です。

ネタローがジャグリングに興味を持つきっかけになったピエロが
実はジン先生の同級生だったという伏線は、何となく出来すぎている感じですが
それ以外はとても平凡だと思って読むことができて、却って感情移入度が高かったです。
その後のお話もぜひ読んでみたいですが、続編・・・出ないんでしょうね。
スワヒリ語を使ってアフリカ生活を満喫しているムクちゃんの生活を読んでみたかったのですが
出ないでしょうね、話の終わり方から言って。

今思いましたが、小説に出てくる主人公の友だちって 2 人が多いですね。
三匹のおっさん」では清一の友だちは重雄と則夫、
図書館戦争」では郁の同僚として柴崎と手塚が登場します。
本当は 3 人って微妙なバランスの組み合わせなのに、
小説にするとなると、2 人じゃ間がもたないということが、この小説を読んでなんとなく分かりました。
元野球部で、素振りばっかりしているドカだけじゃ、友だち枠に花が咲かないですし
シニカルなヒコザだけでも、もっとひどいと思いいます。
実際の友だちって、そうではないと思うのですが、小説だとそう感じます。
なんででしょうね。



空より高く (中公文庫)

空より高く (中公文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/09/19
  • メディア: 文庫



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コメント 4

さらまわし

登録ありがとうございますm(__)m
とっても嬉しいですヽ(^0^)ノ
これからもよろしくお願いします!!!
by さらまわし (2015-10-20 21:51) 

Sanchai

最近の重松作品の中では最も当たりだと思います。
登場人物のニックネームの付け方は相変わらずイマイチですが(苦笑)
by Sanchai (2015-10-24 05:19) 

うしこ

>さらまわしさん

こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
by うしこ (2015-10-24 22:24) 

うしこ

>Sanchai さん

是非続きを読んでみたいのですが・・・やっぱり書かれないでしょうね?

by うしこ (2015-10-24 22:25) 

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