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娘になった妻、のぶ代へ [活字中毒のトモ]


娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記

娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記

  • 作者: 砂川 啓介
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/10/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


新聞で広告を見かけて購入しました。
正直、広告を見た当初は「こんな本を世の中に出して、いったい何をしたいんだろう?」
と思っていました。
読んでみたところ、謎が解けました。

この本はおそらく、大山さんの夫である砂川さんが、明日からも介護を頑張るために
介護を続ける苦しさを吐き出している本です。
共感を得たいとか、有名人の妻の病気で儲けようとか、そんなよこしまな思いはなく
妻の介護を美談にするあざとさもなく
ただただ、のぶ代さんの介護や彼女との思い出についてが
分かりやすい文章で綴られています。書きながら、自分を解放してあげているというか
人間相手ならどこまで聞いてくれるのか気兼ねしてしまって、却って話せないようなことも
文章で綴れば気楽に吐露できる、それがよくて文章を書かれた、そんな感じがしました。

のぶ代さんはすでに 80 代に入っていて、自分がドラえもんだったことも忘れているそうです。
でもご主人のことはちゃんと覚えていて、ご主人が仕事で留守にすると
ひどく取り乱すのだそうです。パートナーが認知症になった時、
完全に忘れられるのと、自分のことは覚えていてくれるけれど、片時もそばを離れられない生活
どちらかを選ばなくてはならないとすると、どちらが精神的にストレスが大きいか。。
書いてみて思いましたが、あまり比べても良いことはなく
どちらに転んでも、事実をありのままに受け入れて、何とかするしかないのだと思い至りました。

逆に自分が認知症を患う側だったら、どうしようか?も考えましたが
介護者の負担にならないように、好きにしてくれて構わないと思いました。

のぶ代さんとの思い出をたどりながら
「今の状態は "妻"が "娘" になってそばにいてくれるみたいだ」という砂川さん。
のぶ代さんのことを本当に大事にされていらっしゃいます。
子育ては終わりが見えているし、小さな子供はとてもかわいいけれど
介護となると、例えば夫の介護をする場合、
しわくちゃのじいさんが訳の分からないことをしでかすのを見て
「かわいい」とはなかなか思えないし、いつまで看なくてはいけないのかも分からないから
・・・手放しで「息子ができた!」とは喜べないでしょうね、おそらく。
そんな私に比べて、砂川さんは本当に前向きに、のぶ代さんの介護を続けていらっしゃって
すごいなと思います。願わくば、その心が折れてしまいませんように。


娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記

娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記

  • 作者: 砂川 啓介
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/10/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




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