伯爵の花嫁候補 [活字中毒のトモ]
コミックを読んで、とても素敵だったので、原作も読んでみました。
イギリスの放蕩伯爵デベン卿は 30 歳を迎え、周囲から結婚を急かされていました。
名付け親のレディ・ダルリンプルと一緒に久々に舞踏会に足を運んで、
誰でもいいから、最初に声をかけてきた女性にプロポーズしてしまえ、などと
テキトーなことを考えていた彼の元には、玉の輿狙いの浅ましい令嬢ばかりが寄ってきます。
その中の一人、レディ・イザベラに罠にはめられそうになったところを救ったのが
ヘンリエッタでした。田舎から出てきたばかりの彼女はロンドン社交界から冷遇され、
テラスの植えこみの陰で泣いていたようです。
デベン卿は助けてもらった恩からか、ヘンリエッタに囁きました。
「きみを光り輝く社交界の華にしてやろう」
この作品は、コミックの作者さんのまとめ方が上手です。
コミックの方が何倍も良いお話で、泣けます。
原作では、デベン卿はあまり魅力的な人ではないというか
どうにかして既成事実を作って、ヘンリエッタを無理やり妻にしてしまえと
画策しているだけの、文字通り「放蕩伯爵」なので
こんな変なヒーローをあんなにいい男に仕上げるなんて、
さちみりほ先生すごいと思いました。
ただ一つだけ、原作ではヘンリエッタはものすごく表情豊かな女性というか
考えていることが全部顔に出てしまう人のようです。
彼女の父は科学者で人文学者でもあるギブソン卿。
娘にも高度な教育を施しました。
頭がいいのに、考えていることが全部顔に出てしまう女性って
どんな印象なんでしょう?表情がコロコロ変わって面白いかもしれません。
またコミックには出ていませんでしたが、デベン卿もヘンリエッタも
兄弟がたくさんいました。ですがデベン卿の弟や妹は、
長男のデベン卿が優遇されたのをよく思っておらず、
そろいもそろってデベン卿を悪く言うのに対して
ヘンリエッタの兄弟たち(みんな H から始まる名前)は、
妹のために社交界のつてを探してくれたり、一緒に遊んだり
とても仲が良くて、印象的でした。ヘンリエッタはこういう環境で育ったからこそ
家族思いで子供も大好き。
デベン卿はそこに惹かれて、彼女との温かい家庭を夢見るのです。
Amazon のレビューに「主役はヒーロー。ヒロインではない。絶対にヒーロー」
と書かれていたのもうなずけるというか、
不幸な家庭環境で育ったデベン卿が、幸せな結婚生活を求めて
なんとかしてヘンリエッタを口説き落とそうと頑張っているお話でした。
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