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麗しの子爵ときまじめな令嬢 [活字中毒のトモ]


麗しの子爵ときまじめな令嬢 (ラズベリーブックス)

麗しの子爵ときまじめな令嬢 (ラズベリーブックス)

  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2014/08/09
  • メディア: Kindle版


こちらも、石垣島旅行の間に飛行機の中で読みました。
旅行中は、こういう何も考えずに読めるものを読むのが好きです。
こちらも Kindle Unlimited で読むことができました。

時代は 1847年、ちょうどシャーロット・ブロンテがカラー・ベルという男性の筆名で
ジェイン・エア」を発表したころです。
ヒロインは、カリスタ・ヒギンボサム男爵令嬢。
男爵令嬢とはいっても、お父さまは他界していて、
男爵位を継げる男子もいなかったので廃位となり、
残された家族を養うために、カリスタが書物商として懸命に働いていました。
お父さまの生前の商売が、書物商だったので、カリスタが継いだわけですが
(爵位は継げないのにね)
カリスタが女性というだけで仕事の依頼が激減し、生活は困窮する一方でした。
そんなある日、レクストン子爵ドミニクから、蔵書を整理してほしいという仕事がきます。
久しぶりの大きな仕事に、カリスタは張り切りますが
いざ子爵に会ってみると、彼は美しすぎるほどのイケメンで、
ロンドンの社交界では「恋の達人」(マスター・オブ・ラブ)と呼ばれるほど
女性とのうわさが絶えない人物でした。

このお話の笑えるところは、
ドミニクが「顔」が理由でとんでもない噂が先行しているだけで
実は中身は頭の良い、しかも女性に一途な「まともな男」だということです。
こんな男性いたら、お目にかかりたいですね。

カリスタは女性なのに書物商として身を立てる苦労人
ドミニクはイケメンだけど、実は哲学好き
この 2 人、はたから見ると、本当にお似合いの 2 人なのですが
結婚するまでにこれほど障害が出てくるとは・・・。
カリスタはカリスタで「男爵令嬢が仕事をするなんて」と
社交界で悪い噂を広められていますし
女性だというだけで、足元を見られて、家賃を吊り上げられたり
卑猥な誘いをかけられたりして、対処にかなり苦労をしています。
ドミニクは、哲学協会に匿名で発表している論文のために殺されかけます。
人間って、見た目通りとか、世間で言われる「常識」に沿って行動しないと
苦労するのだということが、よく分かる作品です。
これって、21 世紀の今でも同じですよね。価値観はだいぶ変わりましたけど。

ただ、ドミニクはカリスタに出会うまで自分の顔に合わせて放蕩者を演じていましたが
素をさらけ出して(というかなりふり構わず)家族を養うカリスタに出会って
本当の自分を周りの人たちに見せても大丈夫なんじゃないかと思います。
並の女性と出会っただけでは、こんな決心しなかったでしょうから
カリスタはやはり、当時としては、かなり異端だったはずです。
そしてカリスタはというと、子爵と結婚して、それなりの地位を築くことができました。
その後の生活がスピンオフ作品で書かれていましたが、
相変わらず書物商の仕事をは続けているようなので
上流階級の婦人としては稀なキャリア・ウーマンが誕生したことになります。
この 2 人、やっぱりお似合い。こうやって、世の中が徐々に変わっていったんでしょうね。



麗しの子爵ときまじめな令嬢 (ラズベリーブックス)

麗しの子爵ときまじめな令嬢 (ラズベリーブックス)

  • 作者: キャスリン・ラロック
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2014/08/09
  • メディア: 文庫




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