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〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す [活字中毒のトモ]


〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す

〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す

  • 作者: 知念 渉
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2018/12/28
  • メディア: 単行本


新聞の書評を読んで、購入しました。
ヤンキーが高校を出てからどのような人生を歩んでいくのかを
数年かけて丹念に追っていた記録だと書かれており、興味を持ちました。
著者は神田外大で講師を務めておられる知念 渉さん。
うちなーんちゅだそうで、身近に思えました。

Amazon から届いた本を読んでみたところ・・・これは、教授が教科書に使う系?
各章ごとに膨大な数の参考文献が記載されており、
もしかしたら、各章ごとに学会で発表してたのか?と思わせる内容でした。

エスノグラフィーという言葉を、今回初めて知りました。
エスノグラフィーとは、下記のようなものであるそうです。
「未開民族や特定の地域社会などの文化や社会経済組織をはじめとする
生活の諸様式について、フィールド調査を通して組織的に描きだす方法
およびその成果として書かれるモノグラフ」
つまり、興味のある集団に混ざって共に過ごしながら
集団の中の人たちがどんなことをしているのかを観察してまとめること
ですかね?

知念さんは、大阪にある、入学難易度が優しいとある高校(X 高校)に頼んで
職員室の一角に席を用意してもらい、2009 年 9 月から 2012 年 3 月までの 2 年半
週 1~月 1 のペースで X 高校に滞在し、授業や休み時間、放課後の
生徒たちの様子を観察しました。時には生徒に声をかけたりもしました。
観察開始時に 1 年制だった生徒が、終了時にはちょうど卒業を迎える感じですね。
無事に卒業式を迎える子は少なく、留年したり中退する子が多かったようです。

観察期間が終わってからも、知念さんは仲良くなった生徒と連絡を取り続け
彼らのその後の状況を聞き出ます。この作業は 2014 年 12 月まで続き
14 人の生徒の「その後」がまとめられています。
職を転々としている子もいますが、きちんと同じ会社で働き続け
家庭を持っている子もいて、その違いって何なのだろうか
と考察したところ、友人や地域との関係性が良いほど
周りに助けてもらって安定した生活を築けるという結論が出ていました。

「ヤンチャ」という言葉は好きではないですが、
「ヤンチャな子ら」と呼ばれる子たちがどのような子であるのかは分かります。
そういう子たちが、こんな風に学問の対象にされることは、
あまりなかったんでしょうかね?
これをまとめるの、ものすごく時間と労力がかかって大変だったと思いますが
同級生のその後を友達に聞いて回れば、似たような結果を導き出せる気がしました。
結局、自分の周りに、自分を助けてくれる人がどれくらいいるかによって
人生が楽になるかどうかが決まってくるのですね。
ヤンキーではなくても、親とそりが合わない子たちは
大して親しくもない人にもすがらざるを得ず、
余裕のない生活に追い込まれていく気がします。
子どもは親を選べないのに、気の毒な話です。



〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す

〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す

  • 作者: 知念 渉
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2018/12/28
  • メディア: 単行本



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