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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー [活字中毒のトモ]


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

  • 作者: ブレイディ みかこ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/21
  • メディア: 単行本


職場の同僚が「この本、ベストセラーらしいけれど、うしこさん読んだ?」
と訊いてきた本です。
読んだことなかったので、買って読んでみました。
ブレイディみかこさんの著書は、初めてです。

みかこさんはイギリスで、アイルランド人のご主人と
中学生の息子さんと 3 人で暮らしているそうですが
その息子さんが、市のランキングでトップのカトリックの小学校から
中学校へ上がるときに、そのままカトリックの中学校へ行かず
地元の「元」底辺校に通うことにした時から
殺伐とした「リアルな英国社会」と直面することになりました。
その「リアルな英国社会」について、みかこさんが思ったことが
率直な言葉で書かれています。

本書は新潮社が発行している「」という文芸誌で連載されているエッセイのようです。
本の内容よりも、何故この本が日本で今、ベストセラーなのかが気になります。
たぶん海外に出た女性は、程度の差こそあれ、彼女と似たような経験をするし
肌の色が違う相手との間に子供をもうけたら、
その子供はみかこさんの息子さんが抱いたのと同じ思いをすると思いました。
それなのに、何故今、この本が日本で売れるのですかね?
私には理由が分からないです。

ただ読んでいくと、イギリスの深い悩みが良く伝わってきました。
この国、ずいぶん前から、かなり深刻な病気なんですね。
日本に言われたかねえよ、って言われるかもしれませんが。
政府は貧しい人たちに全然優しくないから、
国民はどんどん貧しくなる。それで政府には頼らずに、
近くに住んでいる者同士助け合いましょう、みたいなことが
暗黙の了解になっている。
嵐の日にはホームレスを助けてくれる住人がいるのはステキだけれど
それは国が何もしてくれない結果だというのは悲しい話です。

息子さんが「リアルな英国社会」に放り込まれた自分や
「リアルな英国社会」を作り上げている人たちのことについて
色々思考を巡らせている様子が、ひたむきでステキでした。
この子、きっといい大人になります。
だって 11、2 歳にして彼の発する言葉の鋭いことと言ったら。
「一人一人はいい人なのに、
自分たちが正しいと集団で思い込むと人間はクレイジーになる。
どこまで行くんだろうって胸がドキドキする」とか
「人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。……罰するのが好きなんだ」
って、めちゃめちゃきちんとものを考えている人の台詞ですやん。
思考がとても論理的です。

あと一つびっくりしたのが「子どもの意思で学校に行かないと
『ずる休み』と認定されて親が罰金を払わせられる」という事実です。
そんなことしたら、不登校の子を持つ親は大変だし
子どもはおちおち学校をさぼれやしない。
「学校なんて行かんでよろしい」と子どもに伝えたことがある親
私を含め、結構いると思いますけどね。

他にも、家出する子が多い話とか、
その家出した子供のことを、その子が通う進学校は
評判を気にして本気で探そうとしないとか
水泳大会をやると、ポッシュと庶民では泳ぐレーンが違うとか
イギリスで暮らすのって大変だなと思いました。
いつもイエローの私は特にね。
日本もそのうち、そんな風になってしまうんでしょうかね。
あ、その前に、少子化を何とかしないと。



ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/21
  • メディア: Kindle版



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