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南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集 [活字中毒のトモ]


南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

  • 作者: 砂川亨
  • 出版社/メーカー: ボーダーインク
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: 単行本


今から 4 年以上前に、本書が新聞で紹介されていて
面白そうだと思って、わざわざジュンク堂に探しに行って購入したはずなのです
宅建のテキストと同じ箱に入れたまま、本書の存在を
すっかり忘れていました。
そしてようやく宅建に合格したので、テキストを捨て、箱も処分しようと思い
箱の中に入っていた色々なものを、いるものといらないものに分けたら
本書が出てきました。あー・・・またやっちゃった。
買っただけで満足して、とりあえず手近な箱に入れて
すっかり忘れてしまっていたのです。こんなに面白い本なのに。

本書は、昭和薬科大学付属高等学校で国語を教えている砂川 亨先生が
担任を持ったクラスである第 39 期の 3 年 E 組の生徒たちとやりとりした
学級日誌を書籍化したものです。
さすが国語の先生、学級日誌も教育に最大限利用しようとされるんですね。
私の担任の先生が国語を教えておられたことって、
中高の 6 年間でたった 1 回しかなく、
彼女は学級日誌を最低でも 300 字以上書けとは言わなかったと思うので
こんなルーティンワークを教育に最大限利用される砂川先生すごいなと思いました。

このクラスの生徒に学級日誌を書かせるにあたり、
砂川先生がつくったルールはたった 2 つだけ。

1) 日誌のコメント欄を 8 割以上埋めること。
2) 公で読まれるのにふさわしくない文章(誹謗中傷/下品/不快な表現)は NG。

そして先生は、「学級日誌を書くのをさぼったら翌日も日直な!」
と生徒に言い渡したのでした。
ですが生徒にだけ苦行を強いるわけではなく、先生はこうも言いました。
「私は毎日コメント返す。しかも君たち以上の量を書く」と。

学生時代、何度もレポートを出しましたが、
私が書いた量以上のコメント書いてくれる先生なんて 1 人もいませんでした。
というか、まともなコメントを書いてくれる先生は本当に少なくて
数行でもきちんとコメントを書いてくださる先生がいると
とてもうれしかったものです。
それなのに、書いた以上のコメントが返ってくる学級日誌って
いったい何なの?もうこれは学級日誌ではなく、生徒と先生による交換日記ですね。
読むとどの日の日誌も面白くて、お互いの熱い思いが伝わってきます。
また薬科大付属高校の生徒たちの、頭の回転の速いことよ。
一番面白いと思ったのは花梨さんが書いた「モテ期三回説の真実」なのですが
「人生のモテ期は 3 回ある」という都市伝説を相手に
重解だったら 1 回しかないし、
虚数解だったら 0 回だという話を披露してくれていました。
ああ高校生ってこんな感じだったなというか、
学習したことをきちんと応用できててすごいし、そもそも文章が面白いです。
こういう高校生、本当に大好きです。こんな学友に囲まれて学生生活を送れるなら
高い学費を払うメリットもあるでしょうね。
そして砂川先生が返すコメントも、毎回とてもステキで
生徒たちを暖かく見守ってくださる様子が伝わってきました。
本書のあとがきで、このクラスの生徒たちと学級日誌をやり取りしていた当時は
奥様が入院されて、大変な生活を送っていらっしゃったことが明かされています。
奥様の看病やお嬢さん 2 人の世話をしながら、
学級日誌に膨大な量のコメント書くのって、本当に大変だったと思います。
おそらくこんなのは、持ち帰りの仕事でしょうし。
先生って、本当に大変な仕事ですね。

気軽に読めて、最後には心がほっこり、温かな気持ちになれる良い本です。



南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

  • 作者: 砂川亨
  • 出版社/メーカー: ボーダーインク
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: 単行本



コメント(2) 
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コメント 2

とおりすがり

こんにちは!たまたま見かけてコメントしています。
実は私、この先生に習っていました!
授業がいつもびっくりするぐらい楽しくて、
家に帰ったらいつも「今日ねー、国語でねー」とあんまり話すものだから、親が目を丸くしていたことを思い出しました。
担任になってもらってたら、私にもコメントしてくれたのにな〜。
それだけがちょっとだけ心残りです。
でも、こうしていろんな人に読んでもらえるとなんだか卒業生として誇らしい気分です。
by とおりすがり (2020-01-30 22:01) 

うしこ

>とおりすがりさん
ご来訪&コメントをありがとうございました。
なんと!砂川先生の教え子さんにコメントいただけるとは!!
いいなあ、国語の授業楽しかったんですね。
生徒の皆さんが、砂川先生をとても信頼している様子が伝わる本でした。
by うしこ (2020-02-03 21:36) 

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