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習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機 [活字中毒のトモ]


習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機 -

習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機 -

  • 作者: 福島 香織
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


昨年出版された本なのですが、私が数カ月寝かせているうちに年が変わり
中国情勢も随分変わってしまいました。
出版後まだ 1 年も経っていないのに、もう色褪せた感。
ですが福島さんの中国本はいつも、情報がかなり信頼できるソースのものなので
今回も興味深く拝読しました。

中国には「逢九必乱」というジンクスがあるそうです。
末尾に 9 のつく年は必乱の年であり、必ず乱や災いが起きるのだそうです。
そう言われてみると、確かにその通りで
近い過去を振り返っただけでも、2009 年にはウイグル騒乱、1999 年には法輪功弾圧
1989 年には天安門事件が起きています。
さて 2019 年は・・・あれ?何が起こったんでしたっけ。
もう 2020 年の新型肺炎のインパクトが大きすぎて、
2019 年に起こった出来事を思い出せません。
いやいや、香港でデモが起こったな。
これ相当重要な出来事でしたってば。

本書が書かれた時点では、
福島さんは 2019 年に習近平が失脚する可能性が高いと思っておられたようです。
経済的には中国はすでに「シロアリにむしばまれた大木」も同然だし
カリスマ性のない習近平の周りでは、いつクーデターが起こってもおかしくない
宗教弾圧もそろそろ限界だろうし、台湾や香港にも火種がある
(事実、香港では民主化デモが起きてしまいました)
少子高齢化や原発事故も心配・・・と、
中国には心配事が山のようにあるとのことです。

とりあえず、2019 年内には、中国が消滅するような事件は起きませんでした。
ただ 2020 年を無事に乗り切れるかというと、それはないかもしれません。
香港のデモは相変わらず続いていますし、新型肺炎が蔓延しているせいで
中国政府を批判する声は高まっていると聞きます。
株価も下がってきているようなので、実は習近平にとっては
今年を乗り切るのが一番難しいのではないでしょうか。

福島さんの評する習近平の人となりは、ざっくりいうと
「プライドだけが高い凡人」だそうです。
彼は偉大な政治家の息子ですが、父とは違って凡庸な人で
「中国は豚でも皇帝になれる国だ」と悪口を言う人すらいるそうで。
こんな人が国で一番偉いって、国として終わってますね。
日本人に言われたかねぇよ、って言われそうですが。
そして凡庸な人だから、国家主席の座から引きずりおろされるのを恐れて
有能な人はみんな排斥してしまうし、宗教や異民族を弾圧するのだそうです。
だけど弾圧しても恨みしか残らないので、むしろ逆効果だよね
というのが福島さんの意見です。その通りだと思います。
そんなに凡庸な人なのに、たまたま他に適当な人がいなかったから
国家主席になってしまって、習近平自身も不幸なのかもしれません。
でも凡庸ならとっとと有能な後継者を見つけてバトンタッチすれば良かったのに
彼はそうしませんでした。権力ってそんなにいいものなんですかね。
しがみつけばつくほど、後で不幸になるのが
傍で見ている側にはよく分かるので、
前例を破ってまで終身体制を推し進める習近平は、
自分で自分の首を絞めているようにしか見えません。
彼は、新型肺炎の混乱を乗り切れない気がします。



習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機 -

習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機 -

  • 作者: 福島 香織
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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