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具体と抽象 [活字中毒のトモ]


具体と抽象

具体と抽象

  • 作者: 細谷 功
  • 出版社/メーカー: dZERO(インプレス)
  • 発売日: 2014/12/01
  • メディア: Kindle版


「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する」が面白かったので、
細谷さんが書いた本をもう何冊か読んでみることにしました。

具体的な表現はとにかく分かりやすいです。
今の世の中は「分かりやすい」ことが重要視されているので
具体的なものが受け入れられます。
分かりやすいことをやっている人が優勢になります。
ですが時代はそろそろ衰退し、世代交代の時期に来ているので
これからは「抽象概念を扱う」という不連続な変化を起こすために必要な
知的能力が要求されるそうです。
そこで「抽象」を扱う方法を「具体」との比較を用いることによって
「分かりやすく」解説したのが本書だそうです。

序章と終章を含めると、全部で 22 章から構成されていますが
各章が割と短くて、しかも 4 コマ漫画が頻繁に登場します。
確かに分かりやすい造りになっていて、読むのにそれほど苦労しませんが
1 章読み終わった後で、さてこの章で何を言われていたんだっけ?
と振り返ると、上手にサマリーを作れる自信があまりありません。
本書を読みながら具体と抽象を行ったり来たりするのは
かなり脳みそを使います。読み終わったらお腹がすきます。

この本に書かれているのは、どれも極めて当たり前のことなのですが
こんな風に本にまとめた人、今までいなかったのではないでしょうか。
「おにぎり」という単語一つとっても、食べ物としては具体的だが
たくさんの具によって「鮭おにぎり」や「梅おにぎり」などに分けられるからには
抽象的な言葉である。具体⇔抽象という関係性はどこまででも続けられる。
もうここまでくると、脳みそのクラウドで無限に遊んでいる気分になります。

数学が究極の抽象化の学習である、というご意見は本当に耳が痛かったです。
私が高校生の頃確かに「これを勉強して、生きていくのに何の役に立つんだろう?」
と思っていましたから。数学って抽象化の学習であって、
私は抽象化の学習に失敗していたと。ううう。
とはいえ国語も、難解な長文を読解したり、自分の考えをまとめる練習をしたのは
抽象化の学習に他ならなかったということだそうです。
この 2 つって、どちらも得意という人は多くないと思うのですが
どちらか 1 つだけでもできるようになれば、
抽象化の能力が少しはついたと思っていいでしょうか。

かなり知的好奇心を満足させられる面白い本でした。
手元に置いておいて、気の向いたときに何度か読みなおしたくなる本です。



具体と抽象

具体と抽象

  • 作者: 細谷 功
  • 出版社/メーカー: dZERO(インプレス)
  • 発売日: 2014/12/01
  • メディア: Kindle版



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