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記憶する体 [活字中毒のトモ]


記憶する体

記憶する体

  • 作者: 伊藤 亜紗
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 単行本


沖縄タイムスの書評コーナーの記事を読んで、面白そうだと思って購入しました。

著者は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の伊藤 亜紗先生。
体の「合理的に説明がつかない部分」について研究されておられるようです。
本書では、体に刻み込まれた出来事が「記憶」として
その体に影響を及ぼすという事実をもとに
個々のケースを丹念に調査することで、記憶が可能にしている
「その体のその体らしさ」に迫ろうとする内容となっています。

調査に協力してくれた人たちは、様々な理由により体が五体満足な状態ではありません。
全盲の人や、腕を失った人、若年性認知症の人などです。
彼らの話を読むと、皆さんそれぞれ個性的な方法で、自分の体と向き合っていらっしゃる。
目が見えないのに、人と話すときにメモを取る人
点字を読むと色があらわれる人、
事故で腕を失い、幻肢痛に悩まされる日々の中
「手負いの動物だと思ってただ生きよう。普通に生きようとして命を縮めるよりは
普通に生きるのを諦めて命を取ろう」と決意する人
記憶をなくしてしまっても「想像して楽しめばいいか」と思う人など
実に様々です。
ひとりひとり、個性的な方法で自分の体と向き合い
何かを諦めたり、何かを補ったり、さらには「そもそもこういうもの」と順応したりして
心と体を一体化させようとしています。

こういっては失礼かもしれませんが、人間って誰でもそういうものかもしれません。
とにかく、生きていくしかないのですから。

沖縄に居候中の私としては、若年性認知症の大城さんの章を
一番身近に感じながら読みました。彼の話は以前、新聞記事でも読んだことがあり
若年性認知症でもお仕事ができるのだと知って驚いた記憶があります。
何をするにも一生懸命・・・それでは確かに疲れてしまいますね。
お昼寝が大事だというのは納得です。
私も最近は、少しお昼寝しないと午後に眠たくして仕方がないです。
これって仕事が大変ってことなんですかね。
以前は昼寝をしなくても大丈夫だったので、もしかすると・・・?

280 ページもある分厚い本ですが、非常に読みやすかったです。
「十分にありえる」とか「違和感を感じる」という言い回しが気になる以外は、
大変興味深い本でした。



記憶する体

記憶する体

  • 作者: 伊藤 亜紗
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 単行本



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