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しょぼい生活革命 [活字中毒のトモ]


しょぼい生活革命

しょぼい生活革命

  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: 単行本


フランス現代思想の教授であり武道家でもある内田 樹先生と
えらいてんちょうこと矢内 東紀さんの対談本。
司会をイスラーム学者の中田 考先生が担当されていらっしゃいます。
ここまで豪華な集まりは、なかなかないかも。

私は本書を読んで、えらてんさんが「毛沢東主義気味のノンセクトコミューン」
で生まれ育ったことを知りました。
この方、本を出すたびに、色々な新しい引き出しを披露してくださる。
「地元の名士として」小さくまとまってしまうような方では
絶対にないですね。
今回、彼の意見で面白かったのは
「共同体の基本は、参加者全員が『持ち出し』なので
たいていの人は『俺だけが損をしている、割を食っている』と思っているけれど
実は他のメンバーも全員そう思っている」というお話です。
これを読むまでは、実力のある人に、ない人が寄りかかって生きているのだから
実力のない人の方が圧倒的に楽だろうと思っていました。
でも、どうもそうではないようです。

そして内田先生の本も、おそらく初めてだと思うのですが
「才能のある人間は、どこかよその、もっとスリリングな領域に
立ち去ってしまった。その領域のいくつかが出会って、
化学反応を起こしたときに『本当に新しいこと』が始まると思う」
というご意見はとても興味深く拝読しました。

あと個人的に、こういうビジネスあったらいいなと思ったのが
過疎の村にある家の崩落を防ぐために、引きこもりの人に住んでもらう
という企画で、もし私がこの企画に乗るとしたら、
どういう家だったら住みたいかを、いろいろ想像して楽しくなりました。
いや私、住むほうなので、大した希望は言えないはずなのですが
例えばきれいなお風呂欲しいとか、ネット環境は充実してないととか
余計なことをいっぱい考えて、楽しかったです。
そんな都合のいい家、貸してくれないってば。

他にもいろいろと面白い思想が、対談の随所にぽんぽん出てきます。
これをうまくまとめるのは非常に難しいというか
この本 1 冊がとてもよくまとまっているので
実際に読んでみるのが一番いいと思いました。
この本を読むと、中田先生がまともな人に見えます。
内田先生とえらてんさんの話が場外に飛んでしまいそうになるたびに
上手に引き戻して、話が続くように工夫していらっしゃる。
司会って重要なんですね。



しょぼい生活革命

しょぼい生活革命

  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: 単行本



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