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ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~ [活字中毒のトモ]


ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

  • 作者: 影山知明
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2015/03/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


世界は贈与でできている」で
「贈与の構造」を実際にビジネスに組み込んで成功した一例として
クルミドコーヒー が紹介されていました。
そして参考文献として本書が掲載されていたので、面白そうだと思って購入しました。

タイトルの「ゆっくり、いそげ」はラテン語で festina lente、
意訳すると「急がば回れ」という意味であるらしい言葉からきているそうで
クルミドコーヒーの運営会社である「株式会社フェスティナレンテ」の名前の由来
となっている言葉だそうです。
本書の著者は、この会社の代表取締役で、クルミドコーヒーの店主でもある
影山 知明さん です。

ビジネスというものは常に、利益を求めて動き続けていますが
影山さんは、利益を求めて忙しくお金儲けをするのと
アンチグローバル資本主義のような「スローライフ」の中間を目指して
クルミドコーヒーを運営されていらっしゃいます。
彼はマッキンゼー&カンパニーで働いた後、ベンチャーキャピタルの創業に参画し
その後クルミドコーヒーをオープンしたとか。
ビジネスの何たるかを知り尽くした上で「なんか違う」と思われたのかもしれません。

本書を一読しただけだと、話がうまくまとめづらいというか
「?」が頭に残った状態になります。
ただ目次を丹念に読むと、ちゃんと話がつながっているようだし
タイトルに注意して 1 章ずつ読むと、書き手の意図が分かりやすくなります。
お金ではない「何か」、お金以外の多元的な価値を大事にして
存在を傾けた、手間暇かけた仕事を楽しみながら、
色々な側面からお客様を支援(ギブ)すれば、お客様はそれを上回るギブを返してくださる
そうすれば、経済はちゃんと回っていくとのことです。
「金融」というと堅苦しいけれど、使い方、思いの乗せ方次第で
人と人との関係を育む道具になり得ると。
利益は金銭的な価値だけだと思われがちだけど、
世の中で「大事なもの」という観点で考えれば、それはお金だけではないはず
お金を儲けようと思うとどうしても、
お客様から奪う(テイク)要素がでスタートすることが多いけれど
それを与える(ギブ)要素からスタートしてはどうか、
他人にしてもらったことへの対価としてお金を払うというシステムは
人を自由にしたけれど、同時に孤立させもした
そうではなくて、他人と共に自由に生きる社会があってもいいのではないか
自分から主体的に、人に最初に与えるしくみが浸透すれば
それは可能なんじゃない?という考えを体現するために運営しているのが
クルミドコーヒーであるようです。
そしてそれは今のところ、大変上手くいっているようです。
いい話じゃないですか。

この取り組みが上手くいっているのであれば、
やっぱり「ペイ・フォワード」のトレバーは、死ななくてもいいと思うんですよね。。



ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

  • 作者: 影山知明
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2015/03/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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