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海の底 [活字中毒のトモ]


海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/04/25
  • メディア: 文庫


海の底、というよりは海の上で動けなくなっている潜水艦のお話です。
動けなくなっている原因が、海の底で育まれていたから・・・そういう意味かしら?
海上自衛隊が誇る、最新のおやしお型潜水艦「きりしお」。
その乗員である夏木 大和と冬原 春臣は、当時ぺーぺーの実習幹部でした。
きりしおが横須賀に入港し、停泊している間に、横須賀湾は謎の巨大ザリガニに占拠されます。
体長 3m はあろうかという巨大ザリガニの正体は、サガミ・レガリスという
元は深海で生息する小さなエビでした。数年前、米潜水艇が深海探査中に
深海微生物や底泥サンプルを採取しましたが、浮上中に事故を起こし、
サンプルを浅瀬にばらまいてしまいます。その中に、サガミ・レガリスが含まれており
かつてない富栄養環境下で、数年かけて巨大化し、より豊富なエサ(つまり人間)を求めて
陸地に上がってきたのです。
きりしおから退去し、陸上を逃げる途中で夏木と冬原は、海自宿舎の外階段に追い詰められた
数名の子どもを発見、彼らを保護するためにきりしお内に戻って立てこもる羽目になります。

塩の街」、「空の中」に続いて、今回の敵も強烈です。
普段はエビ大好物なんですが・・・3m もあるエビに逆に捕食されるとか、ぞっとしますね。
こんなの、どーやって駆逐すんのよ!?とやきもきしますが
そこは、有川先生、自衛隊がお好きなのです。そういう結論に持っていかれます。
また今回は、警察と自衛隊と米軍が、いつどこで誰が敵と対峙するのかでもめていて
そこら辺の駆け引きが妙に面倒くさい感じでした。でも実際に日本で有事があったら
こんなふうにならざるを得ない感じもして、逆にリアルだとも思いました。
警察がネット上の掲示板に情報提供を呼び掛けているさまも、有事では実際にあるかも
と思ってしまいました。

あとはなんといっても、夏木と望(保護された子どものうち、高校生の女子)の恋の行方が
気になります。あまり気になったので、
読了してから続けて「クジラの彼」も一気読みしてしまいました。
海の底では、夏木と望の年齢差がはっきりとは分かりませんでしたが、5 歳差なんですね。
図書館戦争 の堂上さんと郁と同じです。
最初の頃は、自分を殺して我慢ばかりしていた望でしたが、
夏木の暖かく厳しい励ましによって、徐々に自分を取り戻していきました。
これで夏木を好きにならなかったら、他に誰を好きになるというのか?
何度振られても一途に思い続けて、数年後に再会して思いを遂げる様子が素敵です。


海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/04/25
  • メディア: 文庫


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