回想の野口晴哉 [活字中毒のトモ]
*読み応え 70点
*コストパフォーマンス 80点
野口晴哉先生の奥様、昭子さんの著書。
野口先生が亡くなられた 4 年後(1980 年)に、野口先生と過ごした日々を回想していらっしゃいます。
本の紹介の前に、奥様の紹介をちょっとだけ。
野口昭子さんて、実は近衛文麿さんのご長女なんだそうです。
こんなお嬢様と、野口先生は、どこで出会って結婚したんだろ?と不思議に思って調べてみたら
野口先生って、近衛家のお抱え整体師だったんですね。
へえ~。
その後、いろいろあって野口先生と結婚された昭子さんですが
ことあるごとに、先生の状況把握の正しさ、読みの鋭さに驚かされます。
そして、
「どうして分かったの?」
と聞く度に
「どうして分からないの?」
と聞き返されていたんだとか。
やっぱり、先生の感性は、常人の感性とは違うとしか思えません。
だから、体の的確な部位を矯正することで、あらゆる病気が治せるんでしょう。
自分の子供が足を骨折したときも、医者に見せずに自分で治していました。びっくり。
それから、先生が亡くなったときも、医者に見せた、という記述が全くありません。
家族全員で、床に伏した先生に対して整体治療を施していました。
でも、その甲斐なく、すうっと亡くなられたようです。
以前、「風邪の効用」を読んだとき に、
これだけ病気との付き合い方を熟知している人が、どうして 64 歳で死んじゃうんだろ?と不思議に思ったのですが
この本を読んで、何となく分かったような気がします。
先生は、たぶん、今生でやりたいことがなくなっちゃったんじゃないかな。
ちょっと風変わりな人と結婚した女性が
その人となりにびっくりしながらも、愛情一杯に彼との生活を楽しみ
彼が亡くなってからも、その思い出にゆったりと浸っていることが良くわかる
穏やかな 1 冊です。
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