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小学五年生 [活字中毒のトモ]


小学五年生 (文春文庫)

小学五年生 (文春文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/12/04
  • メディア: 文庫


重松 清さんの短編集。
書店でふと手にとって読み始めたところ、おもしろくて
一気に全部読んでしまいました。

一編ごとに、いろいろな小学五年生が主人公となり
何気ない日常から小学生が経験するには重すぎる出来事まで
さまざまなことを経験していきます。
きみの友だち」を読んだときは、
主人公は違えど短編のどこかにかならず恵美がでてきて
お話がすべてつながっていきましたが
この「小学五年生」はそうではなく、本当に独立した短編が詰まった作品です。
転校したときに、同じ頃別の場所に転校していった同級生の身を案じている子だったり
病気のお母さんを、バスに乗って見舞いに通う子だったり
隣のお姉さんの恋人と兄弟のように仲良くする子だったり
いろいろな小学五年生が出てきます。

どの小学五年生も、態度や行動に現れているよりも色々なことを
頭で考えているのが印象的です。
重松さん、ご自分が小学五年生だった頃のことを
よく覚えていらっしゃる。
私も、色々なことを覚えていますが
こうして文章にする、なんてことを思ったことは一度もないので
子どもの頃の思い出、というか子どもの頃の感情を文章にすると
こんな風になるんだ、というか、重松さんやっぱり上手だわ、
この人だから、こんな小説が書けるんだ、と思いました。

離別、死別、転校。
いろいろな形の別れが、大人ほどリアルではなく、だけど本人にとっては大事件で
どこか遠くの出来事のような距離感が面白く
また大人の都合に翻弄され続ける子どもの脆さが良く現れていると思います。
大人も大変だけど、子どもはもっと大変かも。
そう、大変だったよなあ・・・(遠い目)

1 時間もあれば読みきれる作品だし、非常に読みやすい日本語なので
話の内容は重いかもしれませんが、疲れずに読めます。
旅の友としてお奨めです。
短編ごとに少しずつ読める方には、寝る前の友としてもお奨めです。

重松さんの作品、読めば読むほど好きになります。
もっとたくさん読んでみようと思います。






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