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スティル・ライフ [活字中毒のトモ]


スティル・ライフ (中公文庫)

スティル・ライフ (中公文庫)

  • 作者: 池澤 夏樹
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1991/12
  • メディア: 文庫


この前読んだ「エコブランディング」で実用本に嫌気がさしたので
フィクションを読みました。
すばらしい新世界」を読んだ後、
池澤 夏樹さんの本をいくつか買っておいたので
それを読むことにしました。

スティル・ライフ」は、池澤さんが 1987 年に中央公論新人賞を受賞された作品です。
池澤さんと言えば「スティル・ライフ」って感じで
彼を知っている人なら、この作品を一度は読んでいるのではないかと思います。

染色工場でアルバイトをしている主人公は、同僚の佐々井とふとしたきっかけで仲良くなります。
その後、佐々井が工場を辞めた後も、2 人の付き合いは続き
あるとき、彼は佐々井からある仕事をしないかと持ちかけられます。
佐々井の仕事を手伝ううちに、彼は佐々井のとんでもない過去を知るのですが・・・。

現実にはありえないと思われる(少なくとも私には)人たちばかりが登場して
淡々とお話が進んでいきます。
主人公はいたった普通に生活しているように書かれていますが
私の目には、とても普通のようには見えません。
染物工場のアルバイトって、こんなに悠長に暮らせるんでしょうか。
実際の人生って、こういうものだったかしら?
なんだか良く分からなくなりました。
まあ、でも、お話ですからね・・・。

盛り上がりのないまま時間が過ぎて、主人公たちはやらなくてはいけないことが終わったら
またいつもの生活に戻っていきます。
最初読んだときは、なんだか尻切れトンボのような気がして
どうしてもっとお話が続かないんだろう?と思ったのですが
後でもう一度ぱらぱらと読み返してみると
この終わり方でいいような気もしました。
とにかく、消化不良というか、良く分からない本なのです。

だいたい「スティル・ライフ」というタイトル自体が分かりませんでした。
このお話のなにが「スティル・ライフ」なのか。
そもそも「スティル・ライフ」って何なのか。
カタカナだから分かりにくいのかも?と思って
どうやら英語になりそうなので、"still life" で検索をかけてみると
この作品は、英訳もされていて、やっぱり「still life」というタイトルになっていました。
英訳だと、どんな感想をもてるのか、ちょっと気になります。
読んでみようか・・・。
"still life" になると、なんとなくイメージが湧いたというか
"No matter how it is, that is still his/her life."
のような印象を持ちました。
淡々とお話が進んでいくのも、納得できます。

本書にはもう一つ「ヤー・チャイカ」というお話も収録されています。
これもまたありえないお話で、
軍用機器の開発に携わる主人公が、ひょんなことからロシア人と知り合いになり
主人公の娘も加えて家族ぐるみで親しくなっていくお話です。
設定からしてありえない話ですが、このお話を読んで
「この人家族のお話を書くのが下手な人だな」
と思いました。
前に、「すばらしい新世界」を読んだときにも思ったのですが
出てくる人たちに、生活感がないのです。
「ヤー・チャイカ」に出てくる主人公の娘のカンナも
お話を少し読んだだけでは、いくつなのかも分からない。
話し方も、高校生のものとはちょっと違う。
出てくる子どもに違和感がありまくりなのです。
たぶんこの方、普通の家族体験をあまりされていないのでは?
大人だけの世界で長いこと生きていらっしゃる方だという印象を強く持ちました。

薄い本で、通勤途中にあっという間に読めます。
軽い息抜きにどうぞ。






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