死者のための音楽 [活字中毒のトモ]
こちらも、乙一好きの同僚が貸してくれました。
乙一さん、中田 永一だけではなく山白 朝子という別名もお持ちだったのですね。。
この本のあとがきを読むと、乙一さんは
「乙一のときと、山白 朝子のときとでは、小説にどんな違いがあるのか?」という質問に対して
「乙一のときは、読者に喜ばれると思って、物語の “閉じ方” を重視している。
山白 朝子のときは自由に書いており、物語がうまく閉じていない、
わざとあいまいに閉じさせた話が多い気がする」と言っておられるようです。
むぅ・・・スタイルによって名義を変えておられるのですね。
ですがはっきり言って、乙一のときの小説と、山白 朝子のときの小説は
名義を変えなくてもいい気がしました。
読んでみて、素人目にはほとんど違いがないと思ったのです。
この本にまとめられている 7 つのお話は「怪談専門誌 幽」に掲載されたお話のようです。
怪談専門誌・・・読む前からもう、ホラーですね。
以下の 7 つが入っています。
・長い旅のはじまり
・井戸を下りる
・黄金工場
・未完の像
・鬼物語
・鳥とファフロッキーズ現象について
・死者のための音楽
読んでみると、お話によって時代背景が異なり、
ものによっては昔話を読んでいる気分になります。
「長い旅のはじまり」、「井戸を下りる」、「未完の像」や「鬼物語」は
特にその印象が強いです。
そのせいか、現代版のホラーとは違って、怖いお話なのに
なんだか懐かしい気分にもさせられます。
登場人物同士が、意外なところでつながっているところは、
「吉祥寺の朝日奈くん」と同じだと思いました。
作者が同一人物ですから、当たり前と言われれば当たり前かも。
先ほど、「乙一の本と山白 朝子の本は、ほとんど違いがない」と書きましたが
よくよく比較すると、山白さん名義の本の方が、怖さが少し和らいでいる気もします。
「暗黒童話」は、読み終えるのに数ヶ月かかりましたが、これはそういうことはありませんでした。
いつも読む小説と同じようなスピードで読了でき、読了後も気分が沈みませんでした。
なんででしょう?やはり「日本昔話」でこの手の話に慣れているから?
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