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蟹と彼と私 [活字中毒のトモ]

蟹と彼と私

蟹と彼と私

  • 作者: 荻野 アンナ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本


*読み応え  60 点
*コストパフォーマンス  40 点

介護のスペシャリスト(?)荻野アンナさんの
彼を看取った回顧録。
食道がんを患った長年の恋人の闘病と死、
そしてアンナさんが彼の菩提を弔うまでが
幻想的な文章でつづられています。

荻野アンナさんは、たった一人で
高齢のご両親を介護されていて、すごいなと思っていたのですが
まさか彼氏まで介護されていたとは。
たった 1 人で 3 人の介護・・・。
介護している側がぶっ倒れそうです。

さて、題名の「蟹」は、がん(cancer)のことなんですが
がんを「蟹」と書いてしまうことによって
闘病がとても幻想的かつユーモラスに描かれています。
蟹が彼氏の体の中から、アンナさんにささやきかけたり
いるはずのない河童が登場したり
河童の皿を使って時間を巻き戻そうとしたり。
彼氏の闘病記なんですが、見事に「アンナワールド」。

ゆらゆらした、幻想的な文体が
いつ終わるとも知れない介護の苦しさを良く表していて
彼氏の存命中のページを読むと、いいようのない疲労感が漂います。
もちろん、闘病する本人が一番大変なんだけど
看病する側も、ホント大変ですよね。
ウチもそろそろ考えなアカンやろか・・・。(彼じゃなくて親のほうよ、もちろん)
気が重いわぁ。


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金持ち母さん

コメントありがとうございました。

96歳まで生きた祖母を夫とふたりで約2年間介護しました。
今年の1月1日にその幕を閉じましたが、自分達にとって、とても大事な経験となりました。
十分なことが出来たのか分かりませんが、幸せに逝ってくれたのではないかと思っています。
荻野 アンナさん、ぜひ読んでみたいです。
by 金持ち母さん (2007-11-29 05:19) 

うしこ

>金持ち母さん
こちらこそ、コメントありがとうございます。
もうすぐお祖母様の1周忌なのですね。
およばずながら、ご冥福をお祈り申し上げます。
by うしこ (2007-11-30 05:35) 

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