SSブログ

境界に生きた心子 [活字中毒のトモ]


境界に生きた心子

境界に生きた心子

  • 作者: 稲本 雅之
  • 出版社/メーカー: 新風舎
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: 単行本


*読み応え: 90 点
*コストパフォーマンス: 80 点

シナリオライターであり、漫画家でもある 稲本雅之さん の著書。
以前から、読んでみたいと思って Amazon.co.jp の「ほしい物リスト」に入っていたのですが、
私の こちらのブログ記事
稲本さんご本人から心細やかなコメントを寄せていただいたことがきっかけとなり
購入が早まった本です。
稲本さん、その節はどうもありがとうございました。

この本は、彼と、亡くなってしまった元彼女との関わりを描いた
壮絶な記録です。
彼の恋人、心子(しんこ)さん(仮名)は、境界性人格障害 の持ち主でした。

・快活で明るく、頭の回転が速い
・子どものように純真な心の持ち主
・もろく傷つきやすい、ガラスのような心の持ち主
・自分を守るために、攻撃的に人を傷つける
・自分を犠牲にしても、他人の役に立ちたいと願う
・どんなことも、やり始めると一生懸命にやり遂げる頑張り屋
・とても寂しがり屋で、いつも溢れるほどの愛情を欲している

などなど、彼女のいろいろな側面が本当に細やかに記述されています。
彼女のことを、よく見ていたんだなぁ。愛がありますね。

今、書いて思ったんですが、上述のように心子さんの性格を
ざっと挙げてみると、彼女、かなり魅力的な人だと思うのです。
ただ・・・程度が極端なんですよね。
どの性格も、非常に強く表に表れるのですが、時と場合によって
現れる性格のパターンががらりと変わる。
しかも、その変化は一瞬のうちにやってきます。

何気ない会話のちょっとした言葉尻をとらえて激高し

「私のこと何にも分かってない!もう別れよう!!」

と怒鳴りつけた恋人が、その舌の根の乾かぬうちに
寂しがり屋の子猫みたいな性格になって

「ひどいこと言ってごめんなさい。あたしのこと嫌いになった?寂しい。逢いたい・・・」

と言おうものなら、
私なら絶対「どの口が言うとるんじゃあ!!」とその場で恋人を棄てますね。
こんな風に、くるくると人格が変わる恋人を持ったら、こっちの身が持ちませんって。
一貫性のない人は苦手なのです。
ウチのオカンがそういう人で、苦労しましたので、こんな人のお守りはもうこりごり。

稲本さんは
「くるくると変わる人格の全てが心子のもの」
というスタンスで、彼女を良く受け止めていたなと思いました。
彼女と付き合うには、相当な精神力と体力が必要だったでしょう。

子どものうちに、もっとありのままの自分を認められていたら、
彼女はこんな障害を抱えずに済んだのでしょうか。
だとすると、親の役目というのは本当に重大で
私は日々どれだけ、子どもに愛情を示せているのか、
またどれだけ、子どもを束縛しないでいられているか
考えずにはいられないのでした。
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 4

イナモト

心子の魅力をよく理解していただいてありがとうございます。
何でもない一言で、理想化とこき下ろしが一瞬にして入れ替わり、激しくキレたりうつ状態に陥ったり、自殺行動が頻発したりするので、心子との付き合いは本当に壮絶でした。
でも自分の不安定な感情に巻き込まれ、生きる希望も失って、一番苦しいのは彼女自身なのです。
境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害/ボーダー)の人はますます増えています。
ネット上でも、苦しみ悩んでいるボーダーの人は数えきれません。
ボーダーに関する理解が広まって、お互いに少しでも辛い思いが少なくなることを願ってやみません。
拙著が微力でもその助けになれば、心子も喜んでくれるでしょう。

なお、「境界に生きた心子」は出版社の倒産で絶版扱いとなり、Amazonでも在庫がなくなり購入できなくなります。
星和書店からもうじき再出版されますので、ぜひよろしくお願いいたします。m(_ _)m


by イナモト (2008-09-26 22:13) 

うしこ

>イナモト様

コメントをありがとうございます。

私の場合、こき下ろされるとダメージが大きいゆえに、一番苦しんでいるのは激高している相手なのだと思いやることができませんでした。
そこまで思い至ることができるのは、ひとえにイナモト様のお人柄なのだと思います。

でも・・・そうですね、一番苦しんでいるのは本人か・・・。
あとは、それを受け入れられるだけの心の広さが、関係者側にあればいいだけですね。
私は、受け入れられるかなぁ。まだちょっと自信がありません。
by うしこ (2008-09-27 08:59) 

チューリップ

このままだたと、旦那に仕返しされそうな不安はあります。
お酒をのむと旦那の変わった行動は、激しくなります。


どうしていいのかわからない。

私が、我慢しておけばいいような気もするし。

ただ、長女が心配ですね。

自分の馬鹿さに、情けなくなります。

by チューリップ (2010-06-22 05:50) 

チューリップ

長女の心のケアができれば、いまのままのほうが

いいのかもしれない。

by チューリップ (2010-06-22 06:30) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0