その心意気やよし [活字中毒のトモ]
*読み応え: 80 点
*コストパフォーマンス: 80 点
もうすぐパナソニックに社名が変わる松下電器産業の創始者、
故松下幸之助さんの著書。
仕事のこと、人間関係について、日本の現状についてなど
いろいろな思いがつづられています。
この本が書かれたのは、今からちょうど 35 年前なのですが
松下さんが 35 年前に憂えていたことといえば、
日本の世の中が驚くほどのスピードで変化しているにもかかわらず
その変化の方向があまり好ましくないということでした。
ある意味、35 年前と現状と、ほとんど変わっていないような感じ。
今読んでも、まったく色あせていない文章です。
ただ、35 年前の日本の状態を把握していた松下さんは
飛行機や新幹線などの交通の便を発達させて
流通経路を確保すれば、農村の過疎化は解消されると
思っていらしたフシがありますが、
交通網が発達した現在、過疎化がますます進んでいるところを
目の当たりにしますと、
いろいろ考えてみても、思ったとおりにはなかなかならないのだと
いうことも、良く分かりました。
それでも、志高く生きていかなくてはという
松下さんの熱い思いが伝わる 1 冊です。
読んでいる間、思わず笑ったエピソードが、「給料を返上した話」。
新年の仕事始めの日に、遅刻すまいと思って早めに家を出たのに
社用車の運転手が遅く来たために遅刻してしまった松下さん。
この件に関して、運転手の不手際と上司の管理能力のまずさを指摘し
運転手とその上司を計 8 名、減給処分にします。
計 8 名って・・・と思いますが、
運転手にきちんと伝えなかった直属の上司が悪い、
さらには、その上司にきちんと伝えなかったさらに上の人間が悪い
・・・と、管理者をさかのぼること 8 人分。
最後の 8 人目はなんと、社長である松下さん本人だったそうで。
彼は、1 か月分の給料を返上したそうです。
わはは。
こんなこと、何度もやっていたら、松下さんの給料はまったく支払われなく
なっていたでしょうが、たまにはこういう戒めがあると
部下の心も引き締まるでしょうね。
こんなふうに、実直なエピソードがたくさん載せられていて
願わくば、こんな上司の元で働きたいと
切に思いました。
2008-09-29 05:10
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