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やってみなはれみとくんなはれ [活字中毒のトモ]


やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)

やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/08/28
  • メディア: 文庫


ヒゲのウヰスキー誕生す」に、この本が参考文献として紹介されていたので、読んでみました。
なんとこの本、サントリー株式会社から発行された社史
「やってみなはれ サントリーの 70 年Ⅰ」に収録されていた作品を
まとめたものだと書いてあります。
山口 瞳さんと、開高 健さんが、それぞれの文章で
サントリー創始者、鳥井 信治郎さんの足取りをたどっておられます。
さらに追記のような形で、現在サントリーにお勤めの自称「窓際 OL」斎藤 由香さんが
"その後の「やってみなはれ」" というタイトルでエッセイを寄せていらっしゃいます。
社史をこんなに有名な作家が、しかも複数で書くなんて
・・・サントリーって、本当にすごい会社ですね。
これだけでも十分、自由闊達な社風が感じられます。

これらのお話が発行されたのは昭和 44 年ということで、
サントリーのビール事業がまだまだ全然イケていなかった頃で
だけれども、創業者の信治郎さんは数年前に亡くなられていた時代でした。
「寿屋の社史を書くなら、とくに戦前のそれを書くというのなら
鳥井 信治郎の伝記を書くというのと等しい」と山口さんは前置きして
独特の文章で、鳥井 信治郎さんの人となりを掘り下げていらっしゃいます。

読んでみると、信治郎さんは、魅力的な人ではあるけれど
こんな人と一緒に仕事をするのは、精神が相当タフな人でなければ無理だと思いました。
少なくとも私は御免こうむりたいです。
なんで理由も分からないのに怒鳴られたり、
無駄なボランティアに駆り出されなくてはいけないのか、まったく理解できません。
社長だけがやるならいいですが、社員を巻き込むのは勘弁していただきたいです。
ただ、商売のセンスは抜群に良くて、さらに、常に商売のことを考え続けていらしたそうで
もう商売が趣味、みたいな方だったようです。
酒を売っているのに、酔っ払いが嫌い、というストイックな面もお持ちで
ウィスキーを心底愛していたマッサンとは、本当に仕事の仕方が全く違う人だというのが
よく分かりました。





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