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項羽と劉邦(上) [活字中毒のトモ]


項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)

項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/09
  • メディア: 文庫


*読み応え: 90 点
*コストパフォーマンス: 80 点

もう語る必要はないほど有名な、司馬遼太郎さんの著書。
一般的な書評については Amazon のカスタマーレビュー を読んだほうが早いかも。

(上)では、秦の始皇帝が初めて中国全土を制した頃から
始皇帝が死に、二世皇帝が即位し、秦の統率力が乱れ始め
各地で秦に対する反乱が起こる頃までが描かれています。

私、項羽と言えば「虞美人」と「四面楚歌」
劉邦と言えば「漢の高祖」
くらいの知識しかなかったので、
本書を長い物語として大変面白く読ませていただきました。

まず、項羽と劉邦って、結構年が離れていたんですね。
項羽のほうがずっと若い。
北進して秦に向かっている頃、項羽はまだ 24 歳です。
それでも、ひとたび前線に立てば、圧倒的な強さで自ら部下を守ってくれます。
前線では、この上なく頼もしい上司です。
前線以外では、恐ろしすぎて一緒に居たくありませんが。

劉邦はというと、私はこの人がなぜ高祖になれたのか
本当に不思議です。
人間としての器が広い、というと聞こえはいいですが
本書を読む限り、どの部下も
「こいつ、ホンマしゃあないなぁ」
と思いながらも、
「どこか憎めないやつ」
ということで、彼を助けてくれています。
良い部下に恵まれる、器量というものがある人のようです。

こう書いてみると、項羽と劉邦、
どっちも最高の上司とは言い難いのでは?
どちらの上司についても、苦労するような気がします。

上巻に出てきた将軍の中で、私が一番好きなのは
項羽でも劉邦でもなく、秦の章邯さんです。
知力あり、統率力あり。
この人、秦に生まれていなければ、きっといい将軍になったと思います。
こういう人が、上司だったらいいなぁ。

あ、でも、もとは技術者だったというから、
秦に生まれていなければ、将軍にならずに
良い技術者として一生を終えたかもしれません。
その方が、彼も幸せだったでしょうね。

本書では、たくさんの人物が登場し、さまざまな長所と短所を見せて
あっという間に消えてゆきます。
中国の歴史を、早送りで見せられているようです。
読んでいると、知恵で戦死をまぬがれた知識人が
ふとしたことで己の欲にくらんだりして、味方を裏切り
あっという間に首を飛ばされたりしています。
(会社をクビになるのとは訳が違い、物理的に、生首が飛びます)

今出てきたばっかりなのに・・・もう死んじゃうの?

陳勝・呉広の乱(紀元前 209)が始まってから項羽が亡くなる(紀元前 202)まで
たったの 7 年ですから、
恐ろしいスピードで世の中が変わっていったというのは
間違いないようです。
現代のスピードに勝るとも劣らぬ速さでは?
インターネットも自動車もない時代でも、世の中が変わるときは
あっという間に変わったものなのですね。

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