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Reinventing Collapse [活字中毒のトモ]


Reinventing Collapse: The Soviet Example and American Prospects

Reinventing Collapse: The Soviet Example and American Prospects

  • 作者: Dmitry Orlov
  • 出版社/メーカー: New Society Pub
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: ペーパーバック


*読み応え: 70 点
*コストパフォーマンス: 50 点(洋書は高い・・・)

ブログ ヤスの備忘録 歴史と予言のあいだ で紹介されていた本。
最近アメリカでヒットしている本だそうです。
管理人のヤスさんは、"Reinventing Collapse" に対して「崩壊をもう一度」という
ステキな和訳をつけていらっしゃいます。

英語はネイティブではないので、
英語の本を読むのは疲れるし手間もかかるのですが
上述のブログで掲載されていた内容が興味深いものだったのと
本書が 176 ページと割と薄いペーパーバックだったことから
頑張って読んでみることにしました。

作者はドミトリー・オルロフさんという、ボストン在住のソフトウェアエンジニアです。
と同時に、ピーク・オイル説の識者としても有名な人だそうです。
彼は、12 歳までソ連のレニングラードで過ごした後アメリカへ移住、
成人後にソフトウェアエンジニアとなり、仕事やプライベートで
アメリカとソ連を行ったりきたりしていたそうです。

ひとつ気になったのが、些細なことかもしれませんが
オルロフさんの生年が不明であるということです。
本書の巻末には、彼の顔写真が掲載されていますが
彼が何年生まれなのか、書いてありません。
ClubOrlov という彼のブログも見てみましたが
生年は分かりませんでした。
本書で顔写真を見る限りは、40~50 代くらいのおじさんのようですが・・・。

この推測が正しければ、
ソ連が崩壊し、ロシア共和国となった頃(1992)、
彼は 30 歳前後ということになります。
そう仮定して、本書を読み進めてみました。

この本では、ソ連が崩壊した頃に、実際にソ連を何度か訪れたオルロフさんが
そこで見たこと、感じたことを紹介しながら
アメリカの経済や社会情勢が、ソ連が崩壊した当時のそれにとてもよく似ていることを指摘し
アメリカ合衆国という超大国が、近い将来ソ連と同じように崩壊するだろう、
という大胆な予測を立てています。

こんな本、よくアメリカでヒットしているなぁ。
ちなみに、Amazon.com でのカスタマーレビューは
星 4 つです。
結構、高評価ですね。
アメリカ国内でも「この国ヤバいかも」という認識が
浸透しているのでしょうか?

本書は、序文と結論の章を除くと、全部で 6 つのパートに分かれています。
(カッコ内の訳は私が勝手につけました)

1. The Soviet Example(ソ連という前例)
2. Superpower Similarities(超大国同士の類似点)
3. The Collapse Gap(崩壊時の状況変化)
4. Collapse Mitigation(崩壊を乗り切る方法)
5. Adaptation(状況への適応)
6. Career Opportunities(崩壊後に就けそうな仕事)

本書によると、ソ連は原油や天然ガスの採掘に手間取ったことからエネルギーが不足し、
(当時の採掘技術では、ソ連国内の資源を低コストで採掘できなかったそうです)
当時の技術でのピーク・オイルを迎えてからわずか 3 年で経済が破綻したそうです。
アメリカは今、低コストで石油を確保するために、一生懸命戦争をしていますが
オルロフさんいわく、

「世界のピーク・オイルはとっくに過ぎているから、
いくら戦争して石油の利権を獲得してもアメリカは豊かになれない。
無駄な戦争は、資源をムダに消費するだけ」

だそうです。

そして、ゴルバチョフ大統領がペレストロイカを実行した時期には
ソ連の経済は伸び悩み、貿易赤字や対外債務が超過しており
一般的な中流家庭の夫婦は共働きをしなければ生活が成り立たなかった
という事実を提示して

「現在のアメリカにそっくりでしょ?」

と言っています。

ぎくり。
日本も似たような状況のような気が・・・。

他にも、ソ連末期の状態とアメリカの現状の類似点を
いくつも出して、
「アメリカという国は崩壊の危機にある」
と警鐘を鳴らしています。
でも、崩壊がいつ起こるかは、不明だそうです。

崩壊時のソ連では、住んでいた家をそのまま自分の所有地にできたので
とりあえず住む場所には困らなかったこと、
農家では計画経済で徴収された農作物以外にも、
自宅の庭などでこっそり野菜を多めに栽培していたので
崩壊後も食料自給率が意外と高かったこと、
交通網も発達しているので、車を使う頻度がアメリカよりも少ないこと
などを紹介して
アメリカが崩壊したら、ソ連の比ではない悲惨な状況が起こる、と言っています。

崩壊後、アメリカ国内は治安が恐ろしく悪くなり、
人々は強盗によって住処を奪われたり
家のローンを払えなくなって自宅を放棄したりしながら、
安全に住める場所を求めてさまようハメになるそうです。
しかも、石油が高騰していることから、移動手段は自転車と帆船だとか。
また、ハイパーインフレが起こり、お金は紙くずと化します。
そして最終的に、30 世帯前後の小さなコミュニティがいくつもできて
自分たちで持ち物を物々交換しながら自給自足のような生活を送ることになるんですって。
ひー。

個人的に興味深かったのが、アメリカが崩壊すると、
海外に展開している米軍は全て解散し、本国へ送還されることになるだろう、
と書いてあったことです。
あの人たち、おとなしく帰ってくれるかしら?
帰ってくれなかったら、
武装した恐い人たちと、食料をかけて勝負しないといけないハメになるのですごく嫌だな。
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