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テンペスト 第四巻 冬虹 [活字中毒のトモ]


テンペスト 第四巻 冬虹 (角川文庫)

テンペスト 第四巻 冬虹 (角川文庫)

  • 作者: 池上 永一
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/11/25
  • メディア: 文庫


真鶴が寧温として、性別を偽って王府に勤め始めてから 40 年。
ついに琉球が日本に併合され、王は王宮を追われてしまいます。

読了後の感想は、どちらかというと歯切れの悪いものです。
うーーん。
明治政府の内務官僚になった雅博が言う、
「日本は琉球を解体した以上、幸福にする義務がある」
という台詞。
こんなこと言うくらいなら、解体なんかしなけりゃいいのに、
なんか奇麗事言ってるなー、この人・・・という気持ちが拭えませんでした。
雅博も「奇麗事」と分かっていて言っているのかもしれませんね。
ていうか、そうでなかったらやりきれない台詞だわ。

そして、真鶴に初めて会ってから 40 年近く経っても、
一途に真鶴だけを愛し続けている雅博って、一体何なんでしょうか。
こんな男、現実の世界でおるかいな。
妖怪じゃなかろうか・・・とも思いました。
そこらへんが、ファンタジーの良さなのでしょうか。
腹黒い私には、イマイチ分かりませんでした。
あ、でも、内務官僚になって、
いろいろと琉球にとっては都合の悪い仕事をしているときに、真鶴に会ったのでは
真鶴はあんなにも純粋に恋に落ちたりしなかったでしょうから
こういう設定になるのも仕方がないのかも。

そして、真鶴の兄である嗣勇が、組踊り「雪払い」の作者であるという設定にはびっくり。
池上 永一さんて、こんな小技がさらりと使える作家さんだったのですね。
いろいろと知識をお持ちのようです。

また、琉球が大和と同じ(かそれ以上に)男尊女卑の国だったことが意外でした。
実際に、その時代に暮らしたわけではないので
本当のところどうだったかは知る由もないのですが
女性である真鶴が科試を受ける為に男装しなくてはいけない時代は
今の沖縄とは相当に違っています。
今では、男女何の変わりもなく、同じように勉強し、仕事をしていますし
表では男性を立てて暮らしている女性も、裏ではかなり強いですからね。

とにかく、この時代の琉球をココまで深く掘り下げて、
誰でも読めるような文章でわかりやすく解説した本としては
最高にお奨めです。
また、今の日本も、この時代の琉球と状況が若干似ていると思われるので
寧温みたいな才女が出てきて、日本の独立を上手いこと保ってくれないかと
すがりたくもなりました。
(自分でできりゃーいいんですけどね・・・そんな才能ないわ)


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