遺伝子組換え植物の光と影 [活字中毒のトモ]
12 年も前に書かれた本ですが、遺伝子組換えを総合的に理解するのに役立つ本です。
遺伝子組換え技術に携わる複数の科学者が、
それぞれの保持するデータや知識に基づいて、
遺伝子組換えについてさまざまな観点から意見を述べています。
各章ごとに、書いている人が違うので、
人によっては
「遺伝子組換え技術で作られた作物が他の作物と交配する可能性はあまりない」と言っているし
別の人は、「いや、当然あるでしょ」と言っているという
本としては一貫性のない、かなり変わった作品なのですが
どの意見も豊富な知識と正確なデータに裏打ちされていて
遺伝子組換えを知る上で大変参考になりました。
また、良いことばかり書いてあるわけでもないので
逆に納得できるというか、表示されたデータや書かれた意見が
すっと頭に入りました。
字も小さいし、専門用語も多用されているので、決して読みやすい本とはいえませんが
頑張って読めば、私のような一般人でもかろうじてついていけます。
遺伝子組換えに限らず、新しい技術を採用するときは
リスクとベネフィットを天秤にかけ、判断せざるを得ない
現在流通している食品ですら「絶対安全」と言い切れるものがいくつあるか。
だから、むやみやたらと騒がずに、落ち着いてデータを取りながら
遺伝子組換え技術を活用してみませんか?
という極めて現実的な提言がなされています。
これ以上現実的な意見はないでしょう。
ここまで読むと、台農 5 号が沖縄に与える影響を
どこかで調べてみたい気持ちになります。
でもこういうのって、とりあえず導入して、悪影響が出てからストップするのでは
遅すぎるのですよね。
別の場所を使って実験するにしたって、その「別の場所」があるのかどうかも
怪しいですし。
だからとりあえず、農林水産省は「やめておけ」というのですね。
沖縄で台農 5 号が伐採されることになった背景がようやく分かりました。
でも、国内で安全性が確認されるには、使ってみるしかないのですよね・・・?
安全性が確認されている大豆やとうもろこしは、どうやって実験したのでしょう。
また、これが国内で開発された遺伝子組換え技術を使ったパパイヤだったら
伐採しなくても済んだのでしょうか。
いろいろと疑問は残っていますが、
台農 5 号が伐採されることになった背景は分かりましたので
私の知識欲は満たされました。
タグ:遺伝子組換え植物の光と影
2011-05-20 06:15
nice!(1)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0