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生活保障 [活字中毒のトモ]


生活保障 排除しない社会へ (岩波新書)

生活保障 排除しない社会へ (岩波新書)

  • 作者: 宮本 太郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/11/21
  • メディア: 新書


ベーシック・インカムに関する本を探していたときに、Amazon で購入した本です。
買ってから半年ほど放置していました。
年単位で放置している本も多いので、放置期間は短い方かも。

著者は、ストックホルム大学の研究員としての経歴をお持ちの
比較政策、福祉政策論をメインに活躍されておられる大学教授です。
男性が稼ぎ、数人の家族が暮らしていけるだけの生活費を提供する
日本型の賃金保証システムが崩壊して早数年。
日本は新しい生活保障のスタイルを見つけるべきだといい
福祉国家として有名なスウェーデンの採った政策の現状と課題を指摘
日本がこれから採っていくべき生活保障のあり方を探っています。
ですが、どのような生活保障が最適であるのか、
私は読了後もさっぱり分かりませんでした。
なんだか、理屈ばかり書いてあって、著者の本音が全く読めなかったのです。
大学の講義を聴いているようです。
ただ、ベーシックインカムの可能性はあるのかないのかという観点で言うと
「ない」というのが著者の意見です。
無条件のベーシックインカムは、持続困難であり
他の制度と併用していくことが現実的であると言っています。

私としては、死ぬまで路頭に迷わず暮らしていければ何も言うことはないのですが
これからの世の中、こんなささやかな願いを実現させるのが
非常に困難になりそうです。
少数のお金持ちと安い賃金で働いてくれる労働者がいればいい、という社会では
中間の人はいない方がいいようです。
ここまで書いてきて思いましたが
昔の「男は仕事で女は家」という観念が一般的だった社会は
こういうジレンマを解消するために存在したのかもしれません。
女の人が働かなかったら、労働力が半減して、求人のパイが増えますからね。
それを考えたら、今の社会も労働力は十分にあって
それなのに産業が海外へ逃げてしまった分仕事が少なくなってしまい
みんなが相対的に貧乏になって苦しんでいるような気がします。
どこに外国人労働者の入る余地があるんだか。

よく考えたら、仕事をしなくても暮らしていけるだけのベーシック・インカムをもらえれば
私だって仕事をしませんよ。
こういう人間が増えれば、求人倍率が上がっていいんじゃないでしょうか。
問題は、財源ですが。

本の帯には「生活不安を解消する新しい社会ビジョン」とありましたが
そのビジョンは極めて不明瞭です。
学術的に論じている時点で、まだまだ現実とはかけ離れている気がします。
こういうのって、実際に制度が崩壊してしまわないと
みんな真剣に考えないのかもしれません。





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Sanchai

>なんだか、理屈ばかり書いてあって、著者の本音が全く読めなかったのです。
>大学の講義を聴いているようです。

私も昔読みましたが、まったく同じ感想でした。
by Sanchai (2011-12-01 22:30) 

うしこ

>Sanchai さん

コメントありがとうございます。
この本、お読みになられたのですね。感想を共有できて嬉しいです。


by うしこ (2011-12-02 23:07) 

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