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新編 銀河鉄道の夜 [活字中毒のトモ]


新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

  • 作者: 宮沢 賢治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/06/19
  • メディア: 文庫


こちらも娘からの図書館本また貸しシリーズです。
「銀河鉄道の夜」を、この年まできちんと読んでいなかったことに気づいて
読んでみたいと思って、娘に図書館で借りてきてくれるように頼んでいたのでした。

「新編」というからには「旧編」があるわけで、何が違うのかしらと思ったら、
1 冊の書籍に入れ込んだお話の数と内容が違うようです。
新編は旧編よりも多くのお話が入っています。

私は何も考えておらず、「銀河鉄道の夜」と言えば、
そのお話だけが 1 冊になった本をイメージしていました。
ところが実際に手にした本はそうではなく、宮沢 賢治の短編集でした。
そうか・・・宮沢 賢治って童話作家でしたね。長いお話なんて、あまりないのかも。
短編集だからか、ひとたび読み始めるとあっという間に引き込まれる、
などの感覚はありません。むしろその逆で、時間が空いたときに 1 話ずつ読むくらいでないと
どのお話もきちんと頭に入ってこない感じでした。

さて、「銀河鉄道の夜」についてですが
ジョバンニは、漁に出た父親を待ちながら、病気の母親と暮らす孤独な少年です。
学校に行っても、友達らしい友達はほとんどおらず
父親の友人で博士の息子、カムパネルラ(性格の良い優等生)を遠巻きに眺める日々でした。
その都市の銀河のお祭り(ケンタウルス祭)の日、ジョバンニは人気のない丘の上で
銀河鉄道と遭遇します。気がづくと、ジョバンニは銀河鉄道に乗っていて
なんとすぐ前の席には、カムパネルラが乗っていたのでした。

昔観た映画「銀河鉄道の夜」では、ジョバンニとカムパネルラは猫でしたが
どうして猫として描かれたのか、原作を読んでなんとなく分かった気がしました。
原作どころか、宮沢 賢治さんの作品は、「銀河鉄道の夜」以外も
動物と人間、さらには建物などまで、自由におしゃべりをして存在を主張していたのです。
そのせいか、どのお話もとても幻想的です。

それに、お話のところどころで、ページが欠けていたり、
文字が識別不明のままになっているのにも驚きました。
昔の文学って、みんなこんな感じなのでしょうか。
欠けた部分があるのも、またよりいっそう幻想的というか、
欠けている部分を自分なりに想像するのが、文学者としての醍醐味なのかもしれないと思いました。
確か、「もし、日本という国がなかったら」を書いたロジャー・パルバースさんは、
宮沢 賢治に深い感銘を受けておられたと思います。
賢治好き、他にもたくさんいらっしゃるんでしょうね。

原作をきちんと読んでみて、長年の謎が解けた気分がしました。
何が謎かはよく分かりませんが・・・きっとこのお話の雰囲気が丸ごと「謎」です。
結末については、いろいろな解釈ができると思いました。
何度か読むと、そのたびに違った感想を持ちそうです。
それに長い間ずっと、このお話が本当はどのようなお話なのか分からず過ごしてきたので
「こんな話だったのか!!」という衝撃が強かったです。
子供だけではなく、大人にもお薦めです。






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