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くちびるに歌を [活字中毒のトモ]


くちびるに歌を (小学館文庫)

くちびるに歌を (小学館文庫)

  • 作者: 中田 永一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/12/06
  • メディア: 文庫


こちらも同僚が貸してくれました。
中田 永一さんの作品「百瀬、こっちをむいて。」を読んでいたところだったので
これ幸いとばかり、こちらから先に読み切ることにしました。
中田さんの長編小説を読んだのは、これが初めてです。

舞台は、長崎県の五島列島です。
とある中学に、合唱部があるのですが
顧問の先生が産休に入るにあたり、代行の先生がやってきます。
この先生がとてつもない美女で、彼女を目当てに、男子部員が急増します。
今まで女子ばかりでうまくまとまっていた合唱部に、不純な動機の男子・・・!
多感な中学生、いろいろな騒動を起こしながらも、N コンにむけて練習が続きます。

この人の書く作品はいつも、色々なところで物事がつながっていて
どのシーンも無駄がない印象があります。今作品では特にそういう印象が強かったです。
あと、五島列島の方言が新鮮でした。
本のカバーに掲載されていた、作者の略歴を見ると
中田さんは福岡のご出身なんですね。長崎の方言にも詳しいのかしら。
中学生が「だいじょうぶばい!」とか話しているのを想像したらとてもかわいくて、
九州の方言っていいなと思いました。
方言で書かれているからこそ、印象がまろやかで
合唱部のみんなの会話を読んでいると、こちらまでにこやかになります。
(人前で本を読みながら笑ったら、怖いけど)
愛人を作って島を出ていったろくでなしの父をもつ男性不信の子や
自閉症の兄の面倒を見るために誕生させられたという現実から抜け出せない子
昔の彼氏がもっている「ヤバいデータ」をなんとかして消せないかと
考えあぐねている子など、いろいろな悩みを抱えた子がいるのですが、
みんな方言で自分の気持ちを主張して、生き生きと動き回ります。
どの子もみんな応援してあげたくなります。

この本を読んで、合唱部に入りたいと思う人が増えるかもしれませんね。
ただ歌うだけではない、良い合唱をするために、歌の解釈を一生懸命考えたり
筋トレをしたり、発声練習をしたり、やることがたくさんあって
それを仲間と一緒に頑張っている様子を読むと、部活っていいなと思えます。
私は中学生の時、陸上部だったので、個人で鍛えてばかりで
チームメイトと一緒になって何かを成し遂げるという経験が、あまりありませんでした。
合唱部だったら、陸上部とはまた違った思い出ができるはずです。
みんなで達成感を共有できる合唱部、いいかも。

読みやすい文章で書かれていて、テンポもよいので、続きをどんどん読みたくなります。
忙しい日常から逃れてほっとしたいときに、お薦めです。



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