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3時のアッコちゃん [活字中毒のトモ]


3時のアッコちゃん

3時のアッコちゃん

  • 作者: 柚木 麻子
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/10/15
  • メディア: 単行本


ランチのアッコちゃん」の続編です。
Amazon に薦められて、買ってしまいました。

ランチのアッコちゃん」の時から少し時間が経過して、
アッコさんは「東京ポトフ&スムージー」を経営しています。
以前はポトフだけだったのに、友人のコニーさんがやっていたスムージー屋さんと合体したようです。
ポトフ&スムージーなのに、しかも代表取締役なのに、アッコさんはどのようにしてか、
本場イギリスで 1 カ月も修行して「ティープロフェッショナル」という肩書を手に入れた様子。
三智子の勤める高潮物産の会議で、1 週間紅茶をふるまってくれると言います。
さて、アッコさんは会社の定番会議に、どんな風穴を開けてくれるんでしょう?

他にも、ブラック企業で働く女性に、アッコさんが通勤途中でスムージーをふるまう
「メトロのアッコちゃん」
東京から神戸へ転勤となったパッケージデザイナーが、関西人とイノシシに翻弄される
「シュシュと猪」
国立から梅田に就職面接に来た女性のすったもんだを描く
「梅田駅アンダーワールド」
が入っています。

どのお話も、すごいサクセスストーリーというわけではなく
主人公は色々と悩んで、苦しんでいます。
アッコさんが、それを鮮やかに救ってくれるかというと、そういうわけでもなく
でも問題解決の糸口を、さりげなくかつ強引に目の前に出してくれます。
さりげなさと強引って、両立するんかい!と思われるかもしれませんが
少なくともこのお話の中では両立しているように見えます。
ここまで人のために親身になって世話を焼いてくれて、かつ見返りを期待しない人って
実際には会ったことがありません。
では自分がそんな人になれるかというと、自分には人を助けてあげられるような
人脈とかツールとかが、何一つありません。
そもそも、私に助けを求める人なんて、娘くらいかも。
ヘルプを頼みやすい人とそうでない人って、いますよね。
私は黙っていたら、ヘルプを頼まれることはほとんどありません。
だけど道端ではしょっちゅう道を聞かれます。これは不思議。

それはともかく、どのお話も、最後には主人公は自分の落としどころを見つけて
元気になって前に進んでいきます。
読んでいる側も「ああ、良かった。頑張って」とホッとして主人公を応援してしまいます。
ほんの少しの勇気とか、気持ちの切り替え方で、新しい未来が切り開かれてゆきます。
人生に流されるのではなく、自分の意志で生きていこうと思える 1 冊です。
アッコさんが身近にいなくても、見方を変えてみるだけで、
人生の道筋が違ったものになるかもしれません。その可能性を感じられる本でした。

「ディナーのアッコちゃん」とか「夜食のアッコちゃん」も出ないかしら。
今後も続編を読み続けたいと思うお話です。




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