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嫌われ松子の一生(上) [活字中毒のトモ]



嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)

嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)

  • 作者: 山田 宗樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 文庫



嫌われ松子の一生(上) (幻冬舎文庫)

嫌われ松子の一生(上) (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2004/07/31
  • メディア: Kindle版

タイトルが興味を引く 1 冊です。
読みたいと思ってずっと、Amazon の「ほしい物リスト」に入れていました。
なんとなく、きちんと読んでみたくなり、Kindle 版をダウンロードして読み始めたところ
非常に面白くて、寝る間を惜しんで読み進み、1 日で上巻を読み切ってしまいました。

川尻 松子は子どもの頃から優等生でした。父の希望に沿い、学生時代はずっと優等生、
そして地元の中学校の教師になります。
ところが、ひょんなことから窃盗の罪をかぶり、教師を辞めさせられてしまいます。
そこから松子の転落人生が始まります。作家の卵のヒモと同棲したが、彼は自殺、
その友人と不倫関係に陥るも、相手の妻にばれて別れを告げられ、
ソープランドで働いていると、新たなヒモが現れて、彼女のお金を使い込んでしまう。
上巻は、松子がこの新たなヒモ男に出会って地元を離れるまでが書かれています。

読んでみて思ったのは「沈黙は金」ということわざは嘘である、ということです。
松子はいい人なのに「自分が黙っていれば丸く収まる」と思い込んで
真実を語らなすぎです。松子が黙っていればいるほど、
彼女の沈黙に救われた人間はつけあがり、松子を更なる不幸へと陥れ
自分はのうのうと何食わぬ顔で、今までと同じ、もしくはもっと幸せな人生を歩むのです。
あることないこと吹聴して、松子に全然関係ないことも「松子がやったに違いない」と決めつけ
面識のほとんどない人まで彼女を「嫌われ松子」と呼びます。
もっと声を大にして「自分は悪くない」と主張しなければ
世の中渡っていけないことが、よく分かりました。

あと幸せをつかむには、とっさの判断を上手にすることが重要だとも思いました。
松子はいつも、土壇場で判断を誤り、身を崩していきます。
彼女はまさに「飛んで火にいる夏の虫」というか、
窮地に陥ると自らもっとその深みにはまる選択をしています。
変なフラグを立てるのも上手で「絶対押すなよ」と言いながら
熱湯風呂の前で背中を押してもらうのを待っている芸人とかぶります。
ネタでやっているんじゃないかと思うほど、選択肢を選ぶ際に不幸になるほうを選びます。
でもわざと不幸になろうとしているわけではないところが、松子たる所以で
このお話のコアとなる部分だと思います。
そう、松子は選択を誤る瞬間いつだって、真剣に生きています。
わき目もふらず、一直線に、自分の人生を歩んでいきます。

悪気がない松子のことを私が好きかというと、実は嫌いなのです。
なんだか、ちょっと人生の選択肢を選ぶのに失敗すれば、
私もあっという間に松子のようになってしまいそうだからです。
ああだけど、彼女ほど人にすがって生きていこうとは思っていないかな。。

このお話は松子本人と、彼女の甥であり、彼女の遺品を片付けてくれた
大学生の笙と 2 人の目線で交互に語られていきます。
巻頭ではチャラチャラした大学生だった笙が
松子の人生をたどっていくごとに、人生の大事な何かに気づき
少しずつ変わっていく姿も魅力的です。







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