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オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 [活字中毒のトモ]


オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (新潮新書)

オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (新潮新書)

  • 作者: ロバート・D・エルドリッヂ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/01/15
  • メディア: 新書


新聞の書籍紹介コーナーで、本書が沖縄の某書店でベストセラーになっていると書かれていました。
沖縄で「オキナワ論」がベストセラー・・・どんな本なんだろうと気になって
Amazon で買おうとしたのですが、当時 Amazon にこの本の在庫がなく
到着が 2 週間以上後になるということで、しぶしぶ書店に足を運びました(出不精)
そうしたら平積みで置かれていましたorz
新書の新刊ですもの、そりゃそうです。最初から本屋へ行けって・・・。

著者のロバート・D・エルドリッヂ氏は、もともとは歴史学者です。
JET プログラムを利用して来日して以来、途中ハワイ滞在を挟みながら
25 年も日本で暮らし、日本とアメリカの懸け橋になってきました。
この方、元来人と人をつなぐのが好きな方のようです。
そして、自分の目で見たことを客観的に分析する、嘘をつかない人のようです。
「研究とは本来、書き手が伝えたい意見を伝えるものではなく
資料そのものが語るのだ」というくだりを読んで、私はこの人のファンになりました。
これを忠実に実践して、他人に分かりやすく事実を伝えてくれる研究者の
何と少ないことか。

長く大学で准教授をされたエルドリッヂ氏は、のちにアメリカ海兵隊にポストを得て
政務外交部次長として、メディア対応や人脈を生かした政策補佐を行っていました。
東日本大震災の時に「トモダチ作戦」の実現に奔走したのは彼だそうです。
そんなエルドリッヂ氏ですが、2015 年 3 月に解雇されてしまいます。
理由は彼が、米軍基地前での反対運動の様子を、
第三者の手を通じて外部に公開したからです。
公開された画像には、メディアが報道していたような
「背後から無通告」で無抵抗の活動家を拘束するような警備員は映っておらず
むしろ警備員を挑発、威嚇する活動家や、ルールを破るメディア報道者の姿がありました。

エルドリッヂ氏は、沖縄についても研究を重ねていて、現実をよく知った上でこう言います。
「No しか言わない沖縄でいいのか」
彼がどんなに真実を伝えても、沖縄のメディアはなかなか米軍に好意的な記事は書いてくれない。
「基地の 75% が沖縄に集中している」という、今や既定の事実になってしまっていることも
数字の積み方にずいぶん誤りがあるし、「米軍の犯罪率は高い」という報道も
データの見方が悪質であり、実際はもっと低い数字であるそうです。

普天間基地の移設にしても「普天間は嫌だ」というのなら、
きちんと代替策を出すべきで「辺野古も嫌だ」ではなく、もっと現実的にならないか?
「No」というのはあくまで姿勢であり、簡単で誰でもできる。
現実的な代替案も将来像もないまま「No」だけ言い続ける沖縄の
なんと無責任なことよ、と書かれています。

あまりに正論すぎて、反論の余地もありません。
また基本的にエルドリッヂ氏は沖縄を愛しているのが伝わってくるので
なんというか・・・愛のムチ的な本です。

メディアは今日も政府を叩き、基地 No を叫び続けていますが
この本がベストセラーになるところあたり、沖縄にもちゃんと考えている人は相当数いて
メディアが誘導する未来は簡単には実現しないと思いましたが・・・楽観的過ぎるでしょうか。


オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (新潮新書)

オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (新潮新書)

  • 作者: ロバート・D・エルドリッヂ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/01/15
  • メディア: 新書



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