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任侠書房 [活字中毒のトモ]


任侠書房 (中公文庫)

任侠書房 (中公文庫)

  • 作者: 今野 敏
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/09
  • メディア: 文庫


昨年書店で平積みされていた本をいくつかまとめて購入したときの 1 冊です。
まとめて購入したは良かったのですが、全部読むまでに別のところに興味が移って
数冊残ったままになっていました。
数学者たちの楽園: 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち」を読んだ後
持ち運びやすくて(ここ重要)気楽に読める本を読みたくなり、本棚からこの本を手に取りました。
読み始めたらすごく面白くて、細切れで読むのが惜しくなり
時間を作って 1 日のうちに読み切ってしまいました。

2004 年に「とせい」というタイトルで出版されたお話を
このシリーズの後続編「任侠病院」が 2015 年に文庫化されたときに
一緒に文庫化(2 回目のようです)、現在のタイトルに改題されたようです。
私が平積み状態を見たのは、このときだったんですね。

日村 誠司が代貸を務める阿岐本組は、今時珍しく任侠道をわきまえたヤクザです。
あるとき、阿岐本組長が、兄弟分の組から倒産寸前の出版社経営を引き受けることになりました。
その出版社は別のヤクザの縄張り内にありますし、
ヤクザが会社を経営するとなると、資金獲得のために経営するフロント企業ではないかと
警察に目をつけられることになるので、日村はたくさんの心配事を抱え込みます。
ところが、他の組員はみんな出版社での仕事に興味津々で歓迎ムードです。
苦い顔で日村が出版社(梅之木書房)を訪れたところ、
そこにはひと癖もふた癖もある編集者たちがいたのでした。

苦労人の日村さんも好きですが、
私はなんといっても、人たらしの阿岐本組長が大好きです!
会社の上司だったら・・・思いつきで行動して、面倒なことは部下に押し付つける人なので
上司としては勘弁して欲しいですが、
こんな人が家族にいたら、きっと楽しいと思います。

阿岐本組の人たちは、一般人には礼儀正しく、義理と人情を大事にする組員ばかりなので
こういうヤクザだったら、近所にいても大丈夫かな・・・と思ったりするのですが
いかんせん、お話の中の人たちですからね。
作者の今野さんは、どういう筋から情報を得て、この本を書かれたのか気になりました。
一応巻末に参考文献が出ているのですが、
本を読んだだけで、あんな風に違和感のないヤクザのお話が書けるものなんでしょうか。
まあ読むほうも本当のヤクザなんて知らないから、
この本に書かれたようなヤクザが実在するかどうかは分からないままですが。
それこそ、中央公論新社さんの社長がヤクザであったなら
阿岐本組長が雑誌のヤクザについての記事を読んで
「この部分は間違っているから、こう直せ」みたいな指導が入ったと思うんですが
・・・ないですよね、多分。

とても面白かったので、続けて「任侠学園」と「任侠病院」も読んでみます。


任侠書房 (中公文庫)

任侠書房 (中公文庫)

  • 作者: 今野 敏
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/09
  • メディア: 文庫



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