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コピペと捏造 [活字中毒のトモ]


コピペと捏造:どこまで許されるのか、表現世界の多様性を探る

コピペと捏造:どこまで許されるのか、表現世界の多様性を探る

  • 作者: 時実 象一
  • 出版社/メーカー: 樹村房
  • 発売日: 2016/11/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


タイトルが興味深かったので、購入しましたが
本書の帯には「シロクロつけるわけではありません!」と書かれていました。
読んでみたところ、この帯のコメントがすべてを物語っていたと気づきましたが
・・・後の祭り?だからといって、ではどのような議論を期待していたのかと聞かれると
答えに詰まるのですが。なんとなく肩透かしを食らう感じの本です。

文学作品やデザイン、学歴など、世の中の色々な分野で
パクリや捏造は横行しています。
今でこそ著作権という概念がメジャーになってきたので
作者が「あの作品は私の書いたもののパクリである!」と訴えて勝てる機会が増えましたが
昔はコピペや盗用に対してあまり罪の意識がなかったので
有名な作家も、無名のライターの作品を平気で
「自分が書いた」と発表してしまうことが多かったという事実を
淡々と、実例を挙げて紹介している本です。
こんなに有名な作家も、他の作品から文章を盗用していた
あんなに有名なデザイナーも、他人の作品と非常に似たデザインを発表していた
などの実例が、非常にたくさん紹介されています。

そして、コピペと捏造はどこまで許されるのか
コピペはダメでパロディがいい理由は何なのかを
ゆるーーく考えるような書き方になっていますが
読み終わってもその結論ははっきりとは出ていなくて、
結論どころか「世の中はコピペと捏造であふれている」という結論にたどり着いて
考えることをやめてしまいたくなる本でした。

グラフの見せ方だって、特定の結果を妙に誇張したり
わざと違いが分かりにくいグラフ(棒グラフなら一目瞭然なのに、円グラフにするとか)
を使って結果を表示したりするのは、捏造の一部ではないのかとか
テレビに出てくる街頭インタビューは、ほとんどサクラで
よく見ていれば、何回も同じ人が、職業を変えて登場しているのが分かるとかは
見る側も「暗黙の了解」があるというか「ああ、そういうものだよね」で済まされるのに
様々な分野の人がたまに学歴詐称をしていたり、人の作品を盗用したデザインを発表したりすると
時として大問題となる。その違いは何なのか?
というように、問題提起はしているけれど、結論がない。
結論には、読者が自分で考えてたどり着かなくてはいけないようです。

個人的には、パクリとか捏造とか、面倒そうで考えませんが
こういうことをするというのは、そうすることで何かメリットがあるからですよね?
だとすると、メリットがなくならない限り、パクリや捏造はなくならないと思いました。
あと昔よりはそういうことに世の中は寛容ではないので
パクリや捏造がバレた場合に払う代償が高くなっている気がします。
こういう風潮が長く続けば、少しずつなくなるのかも?
最近は、昔より確実にイメージが大事というか、
イメージが壊れると、あっという間に多くの人の知るところとなってしまうので
悪いことができない世の中だと思います。
芸能人も、不倫がバレたらあっという間に仕事を干されてしまいますし
他人の作品を盗用したデザイナーなんて、
今後デザインの世界で生きていくのは難しいのではないでしょうか。
昔より個人で生きていける時代になったと思いきや、
噂やバッシングの破壊力は今の方がはるかに強大で、行動をコントロールされている気がします。


コピペと捏造:どこまで許されるのか、表現世界の多様性を探る

コピペと捏造:どこまで許されるのか、表現世界の多様性を探る

  • 作者: 時実 象一
  • 出版社/メーカー: 樹村房
  • 発売日: 2016/11/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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