SSブログ

三千円の使いかた [活字中毒のトモ]


三千円の使いかた (中公文庫)

三千円の使いかた (中公文庫)

  • 作者: 原田ひ香
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2021/08/20
  • メディア: Kindle版


NHK 沖縄の夕方のニュース番組「おきなわHOTeye」で
今売れている本のランキングに登場していたので
どんな本なんだろうと思って買ってみました。

本書は 6 話で構成されていますが、
いずれも御厨(みくりや)家の女性が主人公となっています。
第 1 話の「三千円のつかいかた」は一番若い二女の美帆が主人公です。
美帆は就職して実家から独立し、祐天寺に 1K のマンションを借りて
自分の望んだ暮らしをしています。
ですが職場の先輩がクビになったことがきっかけで、自分の人生これでいいのか?
と考え始めると、どんどん分からなくなっていき
恋人ともうまくいかなくなってしまいます。

第 2 話は美帆の祖母である琴子さんのお話で
第 3 話は美帆の姉である真帆さんのお話。
第 4 話は琴子さんの友人(?)である安生さんが主人公です。
第 5 話は美帆の母、智子さんのお話。
第 6 話は美帆の結婚が決まりそうになるお話です。
1 話ずつ、主人公は違うけれど、どの主人公もみんなお金に困っていて
自分の選択した人生が本当に正しかったのかどうか、ちょっとだけ後悔しています。
だけど前を向いて生きていくしかないところが
何となく現実にありそうな感じで、読む人に親近感を抱かせるのかもしれません。

原田 ひ香さんの作品を読んだのは今回が初めてですが
FP の資格を取ったときに学んだ内容が色々とお話に盛り込まれていて
面白いなと思いながら読みました。
だけど美帆さん、せっかく無料で真帆さんからいい貯金の方法を教えてもらったのに
三千円を払って黒船スーコさんの節約セミナーになんか行っちゃダメじゃん。
その三千円の使い方はどうかと思う・・・とツッコミを入れましたが
そのおかげで後の結婚相手に出会えたのだから、
ある意味、投資は成功と言えるのかもしれません。
いやだけど「そういうマジなのやめようよ」が口癖の両親に育てられた男と結婚して
本当に大丈夫なんだろうか?
美帆さんのお金の悩みは、結婚してからもずっとついて回るに 1 票です。



三千円の使いかた (中公文庫)

三千円の使いかた (中公文庫)

  • 作者: 原田ひ香
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2021/08/20
  • メディア: Kindle版



コメント(0) 
共通テーマ:

世直し小町りんりん [活字中毒のトモ]


世直し小町りんりん (講談社文庫)

世直し小町りんりん (講談社文庫)

  • 作者: 西條 奈加
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/05/15
  • メディア: 文庫


9 月は仕事が忙しかったのですが、ようやく一息ついたので
気軽に読める何か・・・と思っていたところ、Kindle Unlimited に西條さんの本が!
これは読まねば。さっそくダウンロードしました。

お話の舞台は、江戸幕府が 200 年ほど続いた頃。
高砂町にある柏手長屋で長唄を教えている若い女性がいました。
彼女の名はお蝶。お蝶の父は南町の与力職を務めあげた榊 安右衛門(やすえもん)
でしたが、母は深川で辰巳芸者をしていたおきさ。
おきさは気丈に独りで長唄の師匠をしながらお蝶を育ててくれましたが
1 年前に病で他界しました。まるで後を追うかのように、今度は安右衛門が
卒中で急死します。以来、腹違いの兄である安之は、ひとり残された妹を案じて
お蝶が鬱陶しがるほど同居を迫っていますが、毎度お蝶に突っぱねられるのでした。

この安之の奥方が、薙刀の名手、沙十(さと)なのですが
普段は観音のような微笑を携えたおっとりとした御仁です。
お蝶と同じ長屋に住む坊主の雉坊からは、
夫の安之とともに「食えない夫婦」と呼ばれています。
安之の与力という仕事柄、色々な相談事が屋敷に持ち込まれるのですが
それらはどうも、寄木細工のように複雑に絡みあって
一つの大事に行きついているようなのでした。

このお話は、講談社から 2012 年 2 月に刊行された
「朱龍哭く 弁天観音よろず始末記」を
改題して文庫化したものだそうです。
江戸時代のお話だからでしょうか、10 年近く前に刊行されたようには思えず
今回もとても面白かったです。あっという間に読んでしまいました。
なんで Kindle Unlimited で読めたんだろう?もしや続編が・・・
と思って探してみたのですが、続編は今のところなさそうです。残念。
確かにこのお話は 1 巻で完結しているっぽいです。
だって安之と沙十はこの先もずっと「食えない夫婦」で
お蝶の行く末を心配しているでしょうし、お蝶が仙吉と陣内のどちらかと
結婚する結末も多分ない。鳴海屋の若旦那とどうこうなんて、もっとない。
続編がない方が、ずっとこのまま、いつメンでわいわいやっている様子が
想像できていいです。
個人的には、お蝶は鳴海屋の若旦那である四十次郎(よそじろう)とペアになるのが
しっくりくるなと思うのですが・・・ないだろうな。



世直し小町りんりん (講談社文庫)

世直し小町りんりん (講談社文庫)

  • 作者: 西條 奈加
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/05/15
  • メディア: 文庫



コメント(0) 
共通テーマ: