思考の整理学 [活字中毒のトモ]
帯に「東大・京大で一番読まれた本」と書かれていました。
最初に刊行されたのは 1983 年ということなので、
実に四半世紀を超えてのリバイバルです。
人(特に日本人)はこれまで、知識の豊富な人が頭の良い人だとみなす傾向があったけど
コンピュータの台頭によって、
頭の中に知識だけ詰め込んだ人が頭の良い人であるとはいえなくなった。
そんなのは、コンピュータに任せておけば良いし、
そもそも知識を詰め込む作業だけなら、人間はコンピュータにかなわない。
だから、本を読んだり勉強したりして知りえたことは
どんどん整理しなくてはいけないし
「知ること」よりも「考えること」に重点を置くべきだ、
というのが本書の趣旨であると思います。
うまく収斂(しゅうれん)できたかな?
(収斂という言葉は、本書の終わりの方に出てきます。
こんな風に、普段使わない言葉も、ルビを振って分かりやすく説明されているので
新しい言葉を知ることができます)
こんな本、なぜ今頃になって流行っているんでしょうか?
ちょっと不思議です。
本書の内容はどれも、ここ数年言われ続けている
人間のコミュニケーション能力や社会適応能力の大切さの指摘に他ならないからです。
ですが、文章が非常に丁寧で、きちんとした日本語で書かれているので
読みやすいです。
言葉にも「慣性の法則」があるのではないか、とか
第 1 次的現実と第 2 次的現実の違い、とか
よくよく考えなければ忘れてしまっているというか
当たり前のように受け止めている事柄が
細かく掘り下げられていて、面白かったです。
「もっと若い頃に読んでいれば・・・」とは思わないけれど
仕事の合間にでも、気楽に楽しめる本です。
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