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誰がバカをつくるのか? [活字中毒のトモ]


誰がバカをつくるのか?―「学力低下」の真相を探る

誰がバカをつくるのか?―「学力低下」の真相を探る

  • 作者: 河本 敏浩
  • 出版社/メーカー: ブックマン社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 単行本


「ゆとり教育」を経て、最近の若者はバカになったといわれています。
果たして、それは本当なのでしょうか?

「最近の若者は、確かにバカになったけど
それは、ゆとり教育のせいではなく、
単純に少子化で競争相手が少なくなって
大学に入りやすくなったせい。
大学側は、バカが増えていることを憂いているけれど
その原因はむしろ現行の大学入試制度にあるのではないか?」

というのが、本書の趣旨だと思います。

読んでいて、正論かどうかは分かりませんでしたが
なかなか興味深い意見だと思いました。
各年代ごとに、東大の入試問題が掲載されていて
それらを比較できるのも面白かったです。
1950 年代の東大の入試問題って、こんなに簡単だったのですね。
これなら、私でも受験できそうです。(本当か?)
もっとも、その時代に生まれていたら、
女である私には、大学を受験するチャンスなんて与えられなかったかもしれませんが。

「ゆとり教育」は、子供がバカになったから導入された制度であって
子供をバカにした原因ではない、と書かれています。
なるほどね・・・。
娘の読んでいる教科書を見ると、とにかくその薄さにびっくりしますが
少子化で競争相手も少ないこのご時世、それでもいいのかもしれないし
私(団塊ジュニア)が勉強していた時代の方が、異常だったのかもしれません。
そういや、試験問題がやたらと難しくて、
試験に出てきそうな項目を覚えるだけで精一杯で
試験に受かったら、思いっきり記憶力が衰えた気がします。

大学に入るのに、そんな勉強は必要あるのか?
どこかにしわ寄せが来るに違いない。
・・・というか、実際来ていたじゃないか、という
今まで誰も指摘しなかった事実を年代を追って淡々と、しかし鋭く指摘しています。

本書では、試験を検定型にして、小学校から大学までをひとつにつないでしまえ!
という解決法が提示されていますが、
できれば大学と就職先もリンクさせてくれると、ラクでいいんだけどなあー。
・・・と、就職で良い目を見たことのない私は、浅ましいことを考えてしまいました。
でも、そうするとまた、「勝手に就職先を決められて、自分の思い通りの会社に就職できない」などの
問題が出てくるのかもしれませんね。

暴走族も、校内暴力も、学級崩壊も、援助交際も
ぜーんぶ大学入試制度が悪いんじゃ
という面白い発想で書かれた、ユニークな本です。
↑この 2 行だけ読むと
「何を寝ぼけたことを言うてんねん」
という感想しか出てこないのですが、具体例を読み、自分の経験を振り返ってみると
なるほど、そうかも・・・というか私よく荒れずに学校生活を終えることができたなあと
不思議になってきます。

日本政府は、人口が少なくなることを恐れて、
出生率を気にしたり、海外から移民を積極的に受け入れようとしたりしていますが
そこまで無駄に人口を増やして、競争をあおっても
何のいいこともなさそうです。
・・・ていうか、団塊ジュニアの私は思いますけど
競争の激しい社会で生きていくのは本当に大変ですよ。
いいかげん、ラクになりたいです。


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コメント 4

大和

教育現場の怪談
 学校と教育制度に、大変な堕落と腐敗とデタラメあることを、教育現場から詳細に暴露したのが「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)です。時代錯誤の官僚は、この知識時代に愚民化教育を行い、20万人の不登校、退学者、60万人の引きこもり、ニートを作りだし、多くの教員を精神疾患にしてしまったのです。
そして、多くの若者を貧窮させ、生活困難にして、社会衰退と荒廃を作りだす大失態を、今も続けていま。正に、「事実は小説より奇なり」を実証する二一世紀の怪談です。
これは、薬害エイズや薬害肝炎を起こした厚労省官僚を越える大罪です。
子供を不幸に落とした悪徳官僚への恨みと呪いの声が、親や教師から聞こえてきます。うらめしや、うらめしや、うらめしや。

by 大和 (2009-12-26 19:39) 

うしこ

>大和さん

書籍のご紹介、ありがとうございます。
今度、買って読んでみようと思います。
by うしこ (2009-12-27 08:56) 

Mrs. Krabs

遅くなってしまいましたが
明けまして、おめでとうございます。

4人の子供の母親として興味があるタイトルです。

>できれば大学と就職先もリンクさせてくれると、ラクでいいんだけどなあー。

就職難の現状を考えると嬉しい話ですが・・・

>「勝手に就職先を決められて、自分の思い通りの会社に就職できない」などの・・・。

社会主義の国では全ての人が平等に・・・と唱えながら、
個人の自由が奪われていたと思います。
ロシアも崩壊してしまいましたよね。
日本でも戦争中は政府に厳しく監視され、市民の自由が制限されていました。
母親としては、子供が少しぐらいのんびりしてバカになっても、
子供達が自由に選らべる平和な時代を望んでます。

興味深い本を紹介して下さり、ありがとうございました。

2010年がうしこさんご家族にとって、より良い年になりますように!

by Mrs. Krabs (2010-01-13 06:03) 

うしこ

>Mrs. Krabs さん

コメントありがとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

私も、子どもがのんびりしていても路頭に迷わない社会が
理想だと思うんですが、
残念ながらそのような社会は現世界には存在しないようです。
資本主義も、社会主義もダメ。
子どもが独立する前に、もっと安定した経済主義が出現して、
暮らしが楽になるといいなと思ってます。
by うしこ (2010-01-14 05:10) 

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