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貧困大国アメリカ [活字中毒のトモ]


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 新書


このところ、雑誌や新聞で堤 未果さんの記事を読むことが多かったので
呼ばれているのかも・・・?と思って本を買ってみました。

自由で平等で、豊かな国と思われているアメリカ合衆国。
ですが、その内情はあまりにも弱者に厳しく
すさまじい貧困にあえぐアメリカ人が多数いることが
実にリアルに紹介されています。

医療保険制度がお粗末なせいで、
たった一度の入院によって、莫大な借金を背負った人々。
銀行に勧められるがままに、ローンを組んで家を購入し
そのローンを払いきれなくなって自宅を追い出される人々。
フードスタンプで生活する人々の苦悩。
学費を肩代わりしてくれるという誘いに乗って、次々と軍に入隊する若者たち。

彼らはみんな、「市場原理」の導入によって
あらゆるものが「サービス」や「ビジネス」として導入された
資本主義の犠牲者であり、
政府は格差を拡大する政策を打ち出すだけで、
いくらでもビジネスと称して弱者を食い物にできるという悲惨な構図が
はっきりと描かれています。

非常に分かりやすい文章と
実在の人物が、時には顔写真つきでインタビューに答えているリアルさから
資本主義の深刻な問題が、はっきりと分かります。

特に印象的だったのは、米軍に入隊した日本人、加藤 秀樹さん(仮名)のインタビューです。
奇麗事ではない、現実的な生の意見がとても心に残りました。
彼は、大学の学費を稼ぐために、
「ワンウィークエンド・ア・マンス」(一ヶ月のうち、週末 1 回だけ所属基地で訓練を受ければ
あとは自由に生活できて、給料ももらえるらしい)
という謳い文句につられて入隊したところ、
ビリー隊長も真っ青な集中訓練を受けて、
わずか 1 年後には、イラク戦争に借り出されるための
集中訓練を受ける羽目になります。

これって、サギじゃないですか?

「金に困っている連中は、どのように扱っても問題ないだろう」
という軍の思惑が垣間見えたようで、背筋が寒くなりました。

日本でも、自分の病院に働いてくれるならば、学費を援助するという
看護学校があったりしますよね。
米軍の学費援助制度も、そういう類のものかと思ったのですが
どうやらそうではないようです。
貧困にあえぐ弱者をさらに利用する、恐ろしいビジネスでした。

日本もそのうち、アメリカみたいになっちゃうんでしょうか。
そうならないことを切に願います。


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コメント 2

yasu

こんにちは。

私もこの本買いましたよ。Ⅱも出ていますね。
医療制度のところだけ目を通しました。やはり酷いですね(^^;
by yasu (2010-04-18 22:02) 

うしこ

>yasu さん

ご来訪&コメントありがとうございます。

Ⅱもそのうち読んでみようと思っています。
日本が同じような国にならないのを祈るばかりです。
by うしこ (2010-04-19 05:12) 

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