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経営に終わりはない [活字中毒のトモ]


経営に終わりはない (文春文庫)

経営に終わりはない (文春文庫)

  • 作者: 藤沢 武夫
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/07
  • メディア: 文庫


本田 宗一郎氏と共に「世界のホンダ」を築き上げた
藤沢 武夫氏の著書。
経営のスペシャリストといえば、この人だろうと思って読んでみました。

読んでみて、強く印象に残ったのが
藤沢さんの「エキスパート」を大切にする気持ちです。
技術屋でも、事務屋でも、とにかくエキスパートになれるように
自分の仕事に誇りを持てるように、仕事場の環境を整えてくれる
そんな方だったようです。
だから、技術者だけを集めた研究所を作ったり、
保険部門を独立させたりして、
出来るだけ複合的な仕事を一社で抱え込まないような体制を作り
技術が何にも分からない上司の下で出来る技術者が働かされる
なんてことがないようにしたそうです。

こういうことを考えながら経営の舵を取る人の元で働ける社員は
幸せだろうなと思いました。

もちろん、藤沢さんご本人の著作ですから
他の人から見れば、批判も少なからずあるのでしょうけれど
社員を守り、会社を守り、そして何よりも本田 宗一郎氏を大切に思う
藤沢さんの優しくも強い気持ちにあふれた 1 冊でした。
ご活躍されたのが、少し前の時代ですが
時代の波に左右されない、良心的な経営者のあり方が示されているので
今の会社運営にも生かせるヒントがたくさん詰まっています。

また、読んでみて意外だったのが
藤沢さんがご活躍されていた時代のホンダが出した
リコールの多さです。
どうも、ホンダという会社は当時
「こういう製品なら売れるんじゃないか?」という憶測を元に商品を作って
十分な検証をしないまま市場に出して
客からのクレームを参考にして商品に改良を加える、という
商品開発のスタイルをとっていたようなのです。
今、こんなことやったら、会社は存続できないんじゃないか?
昔って悠長だったんですねえ。
こういう回顧録を読むと、今って仕事をやりにくい世の中になったなあと思います。

時系列で書かれていないので
お話の時代背景を追うのが少し大変かもしれませんが
好々爺の昔話を、お茶飲みながら聞いている、
そんな感じの本です。
空いた時間にちょこちょこ読むのがお勧めです。


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