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旅行者の朝食 [活字中毒のトモ]


旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)

  • 作者: 米原 万里
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 文庫


日本屈指のロシア語通訳者だった、故 米原 万里さんの著書。
文藝春秋に掲載されていたご自身のエッセイに加筆を加えたお話と
新たに書き下ろされたエッセイが詰まった本です。

「旅行者の朝食」って、何のことかと思えば、
ロシアで昔売られていた、まずい缶詰の名前でした。
タイトルだけ見ると、旅行中に食べたおいしい料理が題材のエッセイかと思ったんですが
実はそうではなくて
食べることが好きな米原さんが今まで食べてきた、色々な食材・料理を
ウンチクたっぷりに語った本です。

通訳者の職業病と思われますが、
食べ物一つとっても、実に細かいところまで歴史や背景が調べられていますし
それをとうとうと人に語る(っていうか、書いてあるんですけど)様が
とても楽しそうです。
キャビアの採取法とか、ロシア流のジョークの裏話とか
実に細かく書かれていて、
こういうお話を直に聞いた場合、おそらく 8 割くらいの人が

「もう、ウンチクはええから・・・」

と途中で話をさえぎること間違いなし、という感じがしました。
食べ物のウンチクに興味のない人にはとても苦痛な本です。
興味のある人の場合も、ウンチクを聞くのが嫌いな人は苦痛であると思われます。
というわけで、読み手を選ぶ本だというのが感想です。
ウンチク好きの人なら、割と気軽に読めるので
そういう方がふとした息抜きとか、旅の途中などに読むとよろしいかと。

ウンチクの内容を良く見てみると
缶詰「旅行者の朝食」は知らないまでも、
「ちびくろサンボ」のバックグラウンドとか、
「レペテ、シルブプレ」で同じ料理が何度も運ばれてくる理由とか
意外と知っていることが多かったのも、
この本があまり好きではない理由のひとつかも、と思いました。
何が言いたいかというと、
ネットが普及した現在となっては、
物を調べるのが恐ろしく簡単になってしまったがために
昔なら、知識人しか知らなかった、重箱の隅をつつくような細かい情報も
知ろうと思えば簡単に知ることが出来るようになってしまったんじゃないかなあ?
ということです。
だから、読んでも感動の度合いが少ない。

知識人にとっては、生きにくい世の中になりましたね。


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