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相似と選択 [活字中毒のトモ]


相似と選択  つれづれノート(20) (角川文庫)

相似と選択 つれづれノート(20) (角川文庫)

  • 作者: 銀色 夏生
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 文庫


詩人、銀色 夏生さんの日記小説「つれづれノート」第 20 弾です。
つれづれ、とうとう 20 冊目になりました。
このシリーズは大体 1 年に 1 冊のペースで出ていますから
20 年くらいずっと日記を書き続けて、
それが本として出版されて売れてしまう。すごいことだと思います。
夏生さんも、本書の中で
「いい詩やいい曲はいっぱいあるけれど、それが売れるとなると難しい。
だから、出した作品が "売れる" ってすごいこと」
みたいなことを書いていらしたけれど、本当だと思います。

さて、本書ではカーカ(娘)はとうとう大学生になり
巻末あたりでは、あまりの帰宅時間の遅さにキレた夏生さんに
「心配するのが嫌だから、どっかに下宿しろ!」と追い出されそうになっています。
また、宮崎の小学校を卒業したさく(息子)が
再び上京して夏生さんと一緒に暮らし始めます。
それぞれ新しい環境に身を置くことになるので、今から次の巻が楽しみです。
前は、東京に引っ越しては見たものの、
転校先になじめずに宮崎に単独でトンボ帰りしたさくくんですが
中学校生活を楽しんでくれるでしょうか。
東京の中学校・・・いろいろとありそうなので、
このまま宮崎で中学生やってた方が気は楽だと思うのですが、どうかな。
カーカは、ここ数年夏生さんの東京と宮崎を往復する生活に付き合ったお陰か
ひとり暮らしに対する心構えみたいなのができたようです。
以前なら「出て行け」と言われても絶対出て行きませんでしたが
「家を出て下宿しろ」と言われて「わかったよ」と答えるまでになっている。
だけどカーカの一人暮らし・・・荒れそうですね。
いつ帰ってくるのか分からないし、部屋もすごく汚れていそうです。
(片付けられない女のお前が言うなって感じですが)

そして、前号 で宣伝されていた銀色プレゼンツの CD ですが、
前号であんなに宣伝しまくった第 1 弾の「ハイネ」ですら
2,500 枚程度しか売れなかったようです。
やっぱり CD は難しい・・・と夏生さんが書いていらっしゃいました。
1 曲ずつダウンロードできるようにしたら、売れるかな・・・?
私はこの、世の中に約 2,500 枚しか出回っていない CD を持っているのでww
結構貴重な存在かもしれません。
本当に、今は CD が売れなくなってしまったのですね。
以前やっていた翻訳の仕事も、機械翻訳が台頭すると単価も仕事の数も激減しましたが
歌や曲のように、出そうと思えば無料ダウンロード版として配信できるコンテンツも
お金に変えるのが難しくなってきたとつくづく思いました。
ここで、ワーキングプアの私なら
「食いっぱぐれたらその後どうなるんだろう?やっぱ野垂れ死に?」
みたいな暗い将来しか予測できないのですが、
一流の詩人、銀色 夏生はやっぱり違うというか、
色々な才能をお金に変える能力がおありだと思いました。

全体としては、夏生さんが荒れずに仕事を淡々とこなしていく号なので
落ち着いて読めます。
量も、302 ページと手ごろです。
通勤途中に楽しめる 1 冊です。


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