SSブログ

下り坂社会を生きる [活字中毒のトモ]


下り坂社会を生きる (宝島社新書)

下り坂社会を生きる (宝島社新書)

  • 作者: 島田 裕巳
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2009/12/10
  • メディア: 新書


宗教学者の島田 裕巳さんと、
元大蔵省の官僚で現在は慶應義塾大学の准教授という小幡 績さんの
対談がまとめられた本です。
小幡さんの「すべての経済はバブルに通じる」と一緒に購入しましたが
こちらの方が対談のせいか読みやすく
あっという間に読んでしまいました。

日本はこれから経済も人口も、下り坂になるのだから
その事実をしっかり見据えて、事実に即した生き方を受け入れましょう
というのが本書の趣旨です。
日本経済は二度と右肩上がりにならないし
日本人が手にするお金も少なくなる。
こういうときには、現状を受け入れて、今持っている技術や品質で勝負すべき
みたいなことが書いてあります。

日本には黙っていても高品質なものが集まってくるのだから
そういうものを批評する「目利き」の役割を果たす国になればいい
という意見は面白いなと思いました。
ですが、明るい未来の展望とか、下り坂社会を乗り切るノウハウ
みたいなものは、ほとんど提示されていなくて
ひたすら「下り坂の社会であきらめて生きていきなさい」と諭すような内容になっています。
超現実的です。

失業に関しても、
「これからは失業しているのが当たり前の世の中になるんだから
それを恥ずかしいと思わなくても良くなる。
"バツイチ" とか "でき婚" が恥ずかしくなくなったのと同じように」
と書いてあって、思わず唸ってしまいました。
今は、失業したら食べていけないから、どうしよう
野垂れ死にしたらどうしよう、と(少なくとも私は)心配しますが
これからの世の中、失業は心配する暇もないほど「当たり前」になるみたいです。
えー・・・そっちの方向にシフトしちゃうんですか。
なんかちっとも心配しなくても大丈夫!とは言えない気が。
↑でもこんな気分も、そのうち味わわなくなってしまうんですね。

私としては、とりあえず野垂れ死にしない程度に生きていければ
何の文句もないのですが、
下り坂社会とは、それが可能な社会なのか・・・?と考えると
そうでもない気もしました。
けっこう多くの人が野垂れ死にしていって、それを何とも思わない社会のような感じです。
まるでアメリカみたい。

ゆるゆると進んでいく対談で、読みやすいので
あっという間に読めますが、
読了後に内容を改めてまとめてみると
なんだか暗い気持ちになりました。
本の帯を見ると「成長にすがらない勇気と幸福」と書いてあります。
成長にすがらないためには勇気が必要なのか・・・。
漠然とした不安が何であるのかが、分かった気がしました。
資本主義の世の中って、経済成長にすがらないと生きていけない世の中なんですね。
景気が良くないと仕事はないし、先の展望も暗い。
私の頭の中は、完全に「資本主義」を基準に構成されているので
今の変化にイマイチついていけていないんだと思います。
だから常に、そのうち野垂れ死にしてしまうんじゃないかと感じている。
そこから開放されるには、お金に頼らない生き方を選択する必要がありそうです。







nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0